<高校野球佐賀大会>◇25日◇準決勝

 佐賀商打線がノーヒッターを粉砕した。多久に7-2と完勝し、3年連続の決勝進出を決めた。準々決勝の神埼戦でノーヒットノーランを達成した最速148キロ左腕の宮島勇二投手(3年)を徹底研究して1回から攻略。10安打7得点と打ち勝った。26日の決勝で佐賀学園と対戦する。

 前の試合で1本の安打も打たれなかった宮島に、いきなりかました。1回裏、先頭打者の大嶋諒悟中堅手(3年)が左越えに二塁打。「あの二塁打が大きかった」と秀坂常紀監督(42)が称賛した一撃で、主導権を握った。攻撃がつながり、あっさり1点を先制。その後もノーヒッターを攻め続け、1点差に迫られた直後の7回裏には、相手エラーも重なり、4点を奪って勝負を決めた。

 宮島を丸裸にしていた。佐賀商は4人のスコアラーが対戦校のデータをとる。大嶋は試合直前に示されたデータを頭に入れた。宮島については「変化球でストライクの後は変化球。外れたらストレート」という配球の傾向をつかんでいた。最初の打席、直球でストライクの後、変化球でボール。カウント1-1、大嶋は狙いすました直球を打ち抜いた。「打つ自信はなかったが、データ通りでした」とスコアラーに感謝した。

 対策も万全だった。打撃練習は5カ所。4カ所は左投手が通常より前から投げ、残る1カ所はマシンで速い変化球を打った。この日の試合前も、朝7時30分に集合して、打ち込んでから球場入り。試合当日の打撃練習は、佐賀商の伝統という。伝統校ならではのデータ収集と練習で怪物左腕を打ち砕いた。

 決勝の相手は、佐賀学園に決まった。春の市長旗杯で敗れた相手だ。だが、ミスを連発して自滅した当時とは違う自信がある。「甲子園出場が目標ですが、甲子園でも上にいけるよう頑張りたい」と大嶋。その目はすでに甲子園での戦いを見据えている。【実藤健一】