日本ハム大谷翔平投手(21)が、「メジャー級ボディー」にスケールアップし、新年をスタートさせた。6日、千葉・鎌ケ谷で始動。今オフに入ってから1日6~7食を取り、2カ月で体重約8キロ増の100キロ(身長193センチ)に到達した。強靱(きょうじん)な肉体を手に入れ、すべての成績で昨年を超えることを誓った。

 ほれぼれするような肉体は、さらに磨き上げられていた。年末年始を故郷・岩手で過ごした大谷は、“ビッグ”になって鎌ケ谷に姿を見せた。「(年越しは)家にいました」とゆっくりと過ごしたが、サボっていたわけではないことは、体が証明していた。「(オフに入って)7、8キロ増えました。あと2、3キロ増やしてから、絞っていけばいいのかなと思う」。

 もともと食べても太りにくい体質で、100キロを超えたのは人生初。オフに入ってから1日6~7食を取り、栄養学も勉強してトレーニングで体を大きくした。体重は急増していながら、体脂肪率は「思ったより変わっていない」と筋肉で増やした。

 「二刀流」4年目を迎え、さらなるスケールアップを目指す。「もう1つ高いパフォーマンスを探していきたかった。(増量は)絶対的に必要なもの。(体に)強さがないと扱いにくい」。疲労の蓄積によって、シーズン半ばに成績が落ちる点は、首脳陣からも指摘されていた。さらに投打で理想のフォームに近づけるための筋力が不足していることも自覚していた。

 「パワー(アップ)もそうですし、技術もそれ(筋力)がないとできない。身長がない人より(自分は)必要になる」と説明。昨年12月にダルビッシュと合同トレを行い、取り組みが間違っていないことも実感した。

 すでに効果は出始めている。この日キャッチボール相手を務めた2年目捕手の清水は「低いボールは伸びてくるし、高めのボールは力強さがある。キャッチボールでもそれは感じました」と証言した。キャンプイン後は98キロまで落とす予定だ。「ひざに負担がかかるので、他のところ(ケア)もちゃんとやらないといけない」。単なる増量だけではなく、故障しない体づくりも並行して行っていく。

 「超」。2016年のテーマを漢字1文字で記した。「去年(の成績)は超えたい。自分で設定した数字は1つでも2つでも超えられるように」と言い切った。優勝が前提とした上で、自分を超える戦いが始まる。【本間翼】

 ◆大谷の食を通した体作り 日本ハムに入団した13年以降、食事に対する意識は着実にアップしている。球団が若手選手を対象にシーズン前後に実施する栄養学の講座受講に加え、独学でも知識を蓄積している。「トレーニングが100%体に反映されるわけじゃないんです。(効果は)30~40%しか出ない。そこを食事で1%でも上げられれば」というのが持論。クレープなどスイーツ好きとしても知られるが「甘いものは食べすぎないように」と節制。苦手なトマトは積極的に食べない。理由はトマトに含まれる栄養素は他の食品からも摂取可能なため。地道に勉強してきた成果を発揮し、ストレスフリーな食生活を心がけている。

 ◆体重100キロ以上の投手 昨季登録で100キロ以上の投手は23人(最重量は阪神メッセンジャーの121キロ)いたが、日本人投手は国吉(DeNA=100キロ)だけ。196センチのダルビッシュ(レンジャーズ)は85→85→84→85→85→90→98キロで米移籍。現在の登録は220ポンドで約100キロ。過去には96年野茂(ドジャース)が100キロでキャンプイン。阪神時代の伊良部が108キロ、06年斉藤和(ソフトバンク)が100キロ、08年以降の石井弘(ヤクルト)が100キロ、西武時代の石井一が100キロで登録している。吉岡(阪神)は08年のドラフト指名時に107キロ、ユニホーム採寸時113キロ、1年目の登録は105キロだった。