この男には「気合MAX」がある。「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」(16~19日、東京ドーム)の侍ジャパン、楽天オコエ瑠偉外野手(20)は、カバンにバリカンを忍ばせた。CSファーストステージでは、開幕直前に自慢のドレッドヘアを五厘刈りにスタイルチェンジした。バリカンは「気合MAX」へのスイッチ。連載「初陣!! 稲葉JAPAN」は今日8日から選手編。各選手の“武器”にスポットを当てます。オコエは「気合」。

 

 「神のお告げがありました」。10月14日、午前6時。オコエは、都内のホテルで起床した。眠い目をこすりながら、カバンに入っているバリカンを迷いなく取り出した。そのまま、風呂場に直行。編み込んだドレッドヘアが、ものの10分で五厘の丸刈りへと変わった。3位で終えたシーズン。2位西武とのCSファーストステージ初戦の朝に、断髪式を敢行した。「夢で神様が『五厘刈りにした方がいい』って言っていたような気がして」とメットライフドームに現れた。

 オコエ 初めてのポストシーズンでしたし、気合ですね。気合MAXですから。何かやらないといけないと思って。

 アメフットのスーパースターで、ニューヨークジャイアンツのWRオデル・ベッカム(25)に憧れる。「私服もオシャレでかっこいい。ダンスも踊れる。髪形はその人を意識しました」。今季途中からドレッドヘアで、両サイドを刈り上げたスタイルに変更。都内の有名美容院で、約3時間かけて作り上げた。そんなお気に入りの髪形だが、CSという大舞台で「気合MAX」が上回った。そして夢が出来た。

 オコエ 将来的には、侍のトップチームに上がりたい。オリンピックで、金メダルを取りたいと本気で思っている。

 高校時代も日本代表に選出された。野手最年少でメンバー入りした今回の「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」。当時とは比較にならないほど、気合MAXだ。「あの時は勢いだけというか。そこまで、しっかりと意識を持てていなかった。今は違う。プロに入って力不足を感じている。上のレベルに行くためにも先輩たちの技術を盗みたい。盗塁、バッティング。特に打撃ですね」と明確な目標を持って臨む。

 純粋に野球を上手になりたい-。トッププレーヤーになりたい-。そうした気持ちが土台となっている。合宿前日、「いつでも気合入れられるように」。カバンには、当然のようにバリカンをしまった。【栗田尚樹】