奮い立て!! 広島投手陣が、オリックスとのオープン戦で12失点するなど精彩を欠いた。特に先発の薮田和樹投手(25)は4回に3者連続四球を含む1イニング4四球などで、3回2/3で84球、5安打5四球6失点。今季は先発の柱として大きな期待を背負う右腕の背信投球に、緒方孝市監督(49)も開幕ローテーション剥奪の可能性すら示唆した。

 大敗した試合後、緒方監督は感情を表に出すことなく、薮田について努めて冷静に口を開いた。「期待している投手だからね。2試合続けて同じことをやっている。これが現状の力だと思っている。次回は結果だけじゃなくて、内容を見せてくれないと。考えるところに来ている」。昨季最高勝率を受賞。今季は先発の柱として週の頭、6連戦初戦の「火曜日の先発」に期待していた右腕がまたも背信投球。開幕ローテーション入りに疑問符をつけた。

 気温7度と肌寒く、冷たい雨も断続的に降っていた。だが、環境面を言い訳にできる内容ではなかった。立ち上がりから明らかなボール球が目立った。3回まで2失点。試合の中で修正できず、迎えた4回は1死から3者連続四球。2死後、この回4つめの四球となる押し出しで失点したところで交代を告げられた。

 前回13日の日本ハム戦(マツダスタジアム)は予定の6回持たず5回降板。投球フォームに課題を残した。修正能力が問われたこの日も同じような失敗を繰り返した。ふがいない投球に、薮田は「そうですね」「それは…」と言葉が続かない。最後は「まぁ、頑張ります」と言葉を絞り出すように答えた。

 薮田だけではない。開幕に間に合うめどが立った岡田も、前回までの投球内容がピリッとしない。大瀬良もオープン戦2試合で計8回8失点。昨季結果を残した3投手の信頼が揺らいでいる。緒方監督は期待しているからこそ、物足りなさを感じている。「投手陣は危機感を持たないと。シーズンに入るにあたって、もう1回締めないといけない」。強力打線を擁するとはいえ「投手を中心とした守り勝つ野球」を掲げる。軸となる投手が揺らぐようでは、安定した戦いに不安を残す。開幕まで9日。限られた準備期間で信頼を取り戻したい。【前原淳】