明治神宮野球大会(9日開幕、神宮)大学の部に7年ぶりに出場する函館大(北海道2連盟)が7日、明日9日の環太平洋大(中国四国3連盟)との初戦に向けて横浜市内で約3時間の練習を行った。前主将の小林俊己中堅手(4年=秋田・能代松陽)は、11年の東日本大震災で野球を教えてくれた父正さん(享年50)を亡くしており「勝って天国の父に恩返しがしたい」と同大初の1勝を誓った。

7年前の3月11日、正さんは建設作業員として仙台で海上工事に従事中、津波にのまれた。「ショックだったが、父にならった野球で頑張ろうと気持ちを持ち直した」。能代松陽時代は3年夏の秋田大会決勝で敗退、函館大主将として臨んだ昨秋は12季ぶりリーグ制覇も、代表決定戦で敗れ明治神宮大会を逃した。3度目のチャンスでつかんだ初の全国舞台。「あこがれの神宮で一生懸命戦う姿を父に届ける」と意気込んだ。

神宮切符獲得直後、秋田に一時帰省し、父の墓前に報告。介護事務員をしながら支えてくれた母郁子さん(53)にも恩返しを約束した。来春からの室蘭シャークス入りが決まり、職場も内定。「学生最後の大会。打って走って勝利に貢献したい」。50メートル5秒9の快足を飛ばし天国の父と、秋田から観戦に来る母を、喜ばせる。【永野高輔】