“セ界のサカモト”が逆転劇を演出した。巨人坂本勇人内野手(30)が開幕からの連続出塁を33試合とし、77年王貞治の球団記録に並んだ。4点を追う7回2死一、二塁から右前適時打。「僕が並べるような方ではないので。毎試合、いい状態で臨めるように継続していければ」。リーグ記録の97年金本知憲(広島)の35試合にあと2と迫ったが、記録より日々の試合に目を向けた。

レジェンドに並ぶ一打が、チームをリーグ20勝一番乗りに導いた。坂本勇の適時打を口火に、亀井の走者一掃の逆転適時二塁打、重信の2点適時三塁打などで一挙7点。「僕はつなげただけでみんなのつなぐ意識があったから。みんなで大量得点を取れたのは良かった」。主将として、打者11人による逆転劇の方が言葉もはずんだ。

志を高く持つことの重要性をソフトバンク王球団会長から教わった。数年前、王球団会長から届いた年賀状に記されていたのは「日本一の大型遊撃手を目指して、頑張ってください」。20代前半だった当時は想像することさえ難しかったが、日々の努力と結果を積み重ね、日本を代表する遊撃手に上りつめた。

主将5年目、優勝を逃し続けた現実を直視し、個人より巨人を先頭で実践する。だから、連続出塁記録にも「それは別に。意識はないです」と意に介さなかった。打率3割3分6厘、12本塁打はともにリーグトップ。どれだけ数字を残しても、さらなる高みを追い求める。【久保賢吾】