4番岡本和真内野手(22)が79打席ぶりの決勝8号ソロを放つなど、巨人打線が歴史的猛打で打ち勝った。岡本は同点の5回に4月19日の阪神戦以来、17試合ぶりの勝ち越し本塁打をたたき込み、亀井の4号ソロ、田中俊の2号満塁本塁打など23安打で19点を奪った。20安打以上は14年以来5年ぶりで、本拠地では05年以来14年ぶり。5点ビハインドからの逆転で、2位ヤクルトとの直接対決初戦を制した。

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シャキッと目の覚める一撃をぶちこんだ。同点の5回。岡本がヤクルト小川の144キロ内角ツーシームに体を強引に巻き込んだ。打球は左翼席中段へ一直線。79打席ぶりの1発となる8号に「打った瞬間フェンス直撃かなと。入ってびっくりしました」。小走りでダイヤモンドを1周。「走り方を忘れました。気がついたらホームでしたね」と久々の感覚に興奮した。

昨季15打数3安打と苦戦した天敵を打ったバットは、簡単には冷めない。1発直後の第4打席は先頭で中安、第5打席は右前適時打。「また崩れるのが怖いので。(本塁打の後も)丁寧にいけたので良かった」と素直にバットを出した。今季初の猛打賞となる4安打2打点。うっぷんを晴らすように量産した。

歯車がかみ合った。試合前時点で打率2割4分4厘、得点圏打率は2割5分7厘。期待に比例するように物足りなさもふくらむ。10連戦最終日の6日。ナイター前の午前11時、ジャイアンツ球場に姿を見せた。広島遠征からの移動翌日にも疲れを見せず「打てていないので練習しないと。五月病ですよ」と不安を打ち消すようにマシンと向き合った。5戦連続安打とし「ここ最近いい感じで打てていますね」と好調時の感覚を取り戻しつつある。

チームは34試合目で27通り目のオーダーだが、第89代4番だけは打線の真ん中から動かない。「打線のつながりを僕が切っていたようなもの」と自虐する主砲の目覚めに呼応した打線は23安打19得点。歴史的猛打で2位ヤクルトを粉砕した。「常にチャンスで回ってくるので、何とかかえせるように頑張ります」。出塁率4割超の坂本勇、丸の後ろで、4番岡本がどっしりと構える。【桑原幹久】