阪神ジェフリー・マルテ内野手(27)の2号2ランが、逆転への口火になった。

先発の西が中日高橋に先制弾を浴びた直後の2回裏1死一塁で、中日又吉のスライダーを捉えて左翼スタンドへ同点弾。7番に座るM砲の一撃が、その後に西からの3連打を呼び、糸原、大山のタイムリーで一気に5点を奪って試合の流れをタイガースに引き寄せた。

「強いスイングをすることができて、いいホームランになってくれたね」。打ったマルテも手応え十分。さらに勇気づけられたのはチームメートだ。梅野が「マルちゃんのホームランでイケイケのムードになったんで」と証言。空気を変えるのも、助っ人砲ならではの大仕事だ。

旧友からの激励が、マルテを突き動かしている。1軍昇格直前だった4月末。ナゴヤ球場で懐かしい友人と「再会」した。相手は中日モヤ。同じドミニカ共和国のラ・ロマーナ州の出身で、実家も近かった。12歳ごろから始まった友だち付き合いは、後に同国でも米国でも同じユニホームを着て、チームメートとしてプレーする経験につながっていった。

1年先にモヤが来日。中日での1シーズンで知り得た日本野球に関する助言を、ナゴヤ球場でマルテに伝えた。「この国の選手たちは、たくさん練習する。そこに自分たちはアジャストしていかないといけない。そうでないと上のチーム(1軍)ではプレーできないぞ」。右ふくらはぎを痛めた影響で2軍調整中だったマルテの心が、動いた。1軍昇格へ心の準備を整えるピースになった。

2本塁打はいずれも甲子園と、本拠地のファンを喜ばせる。「大きいよ。めちゃくちゃデカいよ。『行ってくれ~!』って言ったら、行ったね。あの打順で、ああいうふうにあそこで打ってくれるのは、ものすごく助かる」と矢野監督の興奮も止まらない。

「チームも今勝ってるので、状態的にいいと思います。ホームランを意識せずにしっかりとセンター方向を狙っていくのが大事だと思うので、それを続けて行きたい」と堅実なマルテ。存在感は、日に日に大きくなっている。【堀まどか】