中日大野雄大投手がノーヒットノーランの快挙で完全復活を印象づけた。阪神打線を相手に序盤から危なげない立ち上がりを見せた。回を追うごとに球場内の期待は高まる。大野雄に話しかけるナインはやはりいなかった。5回から意識していたという。「ホンマにどこかで打たれると思った」。

達成の予感は6回に芽生えた。2死二塁で木浪の打球を京田がファインプレーで遊ゴロにした。直前に京田はエラーしていたが、そのミスを帳消しに。「あのプレーでもしかしたらあるかな、と思った」。脳裏によぎったのは、6日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成したソフトバンク千賀の言葉だ。「1本打たれたら、スタンドからため息がくると思っていたので…。それだけはと思っていた」。その気持ちは大野雄にも分かった。「俺はため息つかせるやろな」。試合中にそうつぶやいた。しかし9回、マウンドに上がる時、ファンの「大野コール」に自らを奮い立たせた。「あのコールがあったから、狙おうと思った。信じられない気持ち。最高です」。最終回も3者凡退に抑え、記録達成の瞬間を迎えた。

大野雄は13年から3年連続2ケタ勝利を挙げたが、次第に低迷。昨年はルーキーイヤー以来の未勝利に終わった。今季は何ごともプラス思考にとらえ、前向きな気持ちでマウンドに立った。これで8勝目。最高の投球で4年ぶりの2ケタ勝利が見えてきた。