24年ぶりの月夜に、史上4人目の大記録を達成した。ヤクルト青木宣親外野手(39)が日米通算2500安打をマークした。「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム2回戦の1回、第1打席で右前打を放ち、マリナーズ・イチローに次ぐ歴代2位のスピード到達を決めた。1月と3月に新型コロナの濃厚接触者に認定され、合計1カ月の隔離を強いられた今季。もがき続けながら、安打を積み重ねた。漆黒の夜空には、1年で最も月が大きく見える「スーパームーン」と皆既月食が重なり、希代のバットマンの歴史的快挙を天体ショーが彩った。

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遠征先の球場で、小脇にフレンチブルドッグを抱えている姿を見たことがある。「うちのペットを連れてきているからね」。ちゃめっ気たっぷりの青木の笑顔が、印象に残る。もちろん本物ではなく、犬型のスピーカーをそう呼んでいた。

メジャーリーグから復帰して2年目を迎えた19年4月。試合に臨むチームの雰囲気を盛り上げようと自腹で購入し、クラブハウスに持ち込んだ。音楽が流れていたというメジャー流のロッカールームを、神宮だけでなくビジターでも再現。音楽を口ずさみながら出てくる選手もいた。連勝している時はそのままの流れで、負けた時には「大切なのは、切り替えること」と、青木の選曲であえて爆音でノリノリな音楽を選んだ時もあった。

ヤクルト再加入後、渡米前にも増していつもチームのことを考えていた青木が連れてきた犬は、今もクラブハウスで元気に“暮らして”いるそうだ。【19~20年ヤクルト担当=保坂恭子】