ロッテの育成選手、植田将太捕手(23)がうれしい“1軍初安打”を放った。

8回のこの日初打席、12度素振りしてから打席に入ると、阪神小林の3球目の147キロを、ややつまりながらも左前へ落とした。腕を振ってしっかり走り、一二塁間の3分の1まで進んだところで一塁へ戻った。「とにかく早く1本打ちたいなというのをずっと思っていて。思い切りいったらいい結果が出ました」とマスク越しに笑った。

昨春の1軍練習試合にも出場したが、マスクをかぶるのはこの3連戦が初めてだった。「1軍のトップクラスの打者との違いをすごく感じて、配球面でいくとまだまだ勉強しないといけないなと感じました」とした。ベンチでもじっくり研究。ポイントの近い阪神近本には、同期入団の横山の直球で押した。

27日の第1戦での盗塁阻止に続き、この日も刺した。捕球からワンテンポ入ったものの、低い送球で二盗を狙った長坂を刺した。「2軍でずっと金沢コーチと一緒にやってきたことが結果として出ました。落ち着いて慌てず、いい形で投げられたと思います」。

四球で出塁を許した近本が走ってもおかしくないカウント1-2で、横山にシンカーを要求し、二塁ゴロに打ち取った。盗塁阻止より投手優先。「1年前は無我夢中のまま、何も感じずに終わってしまった。あっという間だったので、今回は以前より落ち着いて試合に入れていけてるのかなと思います」と、人生初の甲子園で自身の1年間の歩みに胸を張った。

大卒で育成2年目。「いち早く支配下にしてもらえるようにやっていきたいです」と燃える。打席の前にはロッテファンからの期待の拍手も聞こえた。「マリンに行けばもっと大きい声援があると思うので、その期待に応えられるようにこれからもやっていきたいなと思います」と誓う。

今季の支配下登録の期限は8月末だ。井口資仁監督(46)は「スローイングは安定してますし、キャッチングも含めてどっしりしてますので。いま捕手が数的にも少ないですから、何とか8月以内に支配下になってくれるくらいまでになってほしいなと思います」と評価。一方で「今はまだ練習試合ですからいろいろなミスが許されますし、終盤から出るということはそういう場面で出てくるので、そこで彼がどう対応できるかだと思います」と1軍への明確な課題も口にした。

1年前、和田康士朗外野手(22)が支配下登録された時、井口監督は「和田は自分の力で支配下選手契約を勝ち取りました」とコメントした。この夜も植田について「いい姿を見せてくれているので、何とか支配下にできるように、本人も頑張ってほしいなと思います」と言葉を寄せた。【金子真仁】