ヤクルトの若き”優ちゃん”が復活勝利を挙げた。約4カ月ぶりの先発となった金久保優斗投手(21)が5回を無四球、6安打2失点と好投。優勝争いのプレッシャーに負けず、163日ぶりの4勝目を挙げた。2位阪神が敗れ、優勝マジック4。チームは19日から2位阪神と最後の直接対決2連戦(甲子園)に挑む。連勝すれば最短20日に優勝が決まる。6年ぶりのリーグ制覇へ向けて、勢いよく敵地に乗り込む。

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優勝争いのまっただ中で、21歳の右腕が必死に試合をつくった。138日ぶりの1軍マウンドとなった金久保が、プレッシャーをはねのけた。「久しぶりの登板で緊張もありました」という中で、伸びのある直球を軸にストライクゾーンで真っ向勝負。援護点をもらった3、4回こそ1失点ずつも、5回は3者連続三振で締めた。「優勝争いしている中、登板させていただいて、何とか最低限は投げられたかなと思います」。任された大役を果たした。

アクシデントを乗り越え、重要な局面で1軍戦力として舞い戻った。今季は開幕直後にプロ初勝利を挙げ、5月上旬までに3勝。順調にキャリアを重ね始めた矢先の5月14日中日戦(バンテリンドーム)で打球がみぞおち付近に直撃した。大事には至らずも「変に意識した」。胸を張れずに体の開きが早くなるなど、投球フォームを見失い、6月1日を最後に1軍登板から遠ざかった。

2軍再調整中は、昨季まで自らの礎を築いた原点に立ち返った。「初心に戻ってじゃないですけど」と、取り組んだのは平均台に乗っての投球練習。「(平均台の)幅はちょっと広いですけど(前への体重移動の)ラインを作る練習を2年目ぐらいからやっていて良くなったので、もう1回やり始めました」と、地道にフォームを固め直した。

2軍戦でも手応えをつかみ、満を持しての1軍復帰で及第点の内容。「勢いをこちらに持ってくるようなピッチングは出来ませんでした」と本人は反省したが、高津監督は「しっかりファームで調整して、準備して、こういう投球をしてくれるのはチームにとってすごく大きな存在。こういう時期の難しいゲームで本当によく投げてくれた」と、たたえた。重圧に負けず、勝利への道筋をつくった5回67球の熱投は胸を張れるものだった。【木下大輔】

◆金久保優斗(かなくぼ・ゆうと)1999年(平11)11月4日生まれ、千葉県出身。東海大市原望洋から17年ドラフト5位でヤクルト入団。1年目の18年にトミー・ジョン手術を受けた。20年10月22日巨人戦(神宮)で1軍デビュー。今季は4月14日DeNA戦(神宮)でプロ初勝利を挙げた

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