パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第11回。17、18年も、チームの低迷は続いた。長い長い辛抱で、宮内オーナーのコメントにはいっそう磨きがかかった。「クレイジーなキャンプを」や「歌を忘れたカナリア」など、数々の名言が飛び出した。

【2017年】▽2月12日 春季宮崎キャンプで、ついにグラウンドで公開説教。「試合とは勝つためにするもの!」「勝利にかける思いを重く持て!」「勝利への貢献を考えよう!」と呼びかけた。担当記者には「訓示やなくて説教ですわ」と説明。「キャンプは順調だと聞きました。昨年日本一の日本ハムが順調ならもう1回優勝できるけど、最下位のうちが順調ではまた今年も最下位になる。順調ではいかんのです。クレイジーなキャンプをやらないかん。目の色を変えるくらいのね」と、居ても立ってもいられない思いを吐露した。

▽3月13日 激励パーティーでのあいさつで「去年はぶざまな結果で申し訳ない。リーグ最下位、ファームも最下位。球団始まって以来の屈辱」とおわび。続けて「『歌を忘れたカナリア』という歌があります。わがチームは、勝ちを忘れたバファローズになってしまった。勝ち方を思い出してもらうしかない。カナリアの次の歌詞は『後ろの山にすてましょか』ですが、勝ちを忘れたバファローズは捨てるわけにはいきません」と童謡を引き合いに、チームにハッパをかけた。

▽同31日 開幕戦の惜敗に「疲れた。負けは負け。惜しい負けなんかない。毎日勝っていかないと。結果がすべて」。3回の守りの乱れに語気を強め「あの守備は何ですか。あの回、記録にならないボーンヘッドも含めていくつエラーがあったか」と指摘した。

▽4月22日 3試合連続、通算5度目の逆転勝ちで2位を快走する好成績に「チームが整ってきたのかな」と成長を認め「So Far So Good(今のところ順調)」とねぎらった。

▽▽6月6日 阪神に完敗し「新記録と違うか。11点、全部ツーアウトから取られた。インサイドワークかな。ツーアウトからちゃんと抑えたらシャットアウトや」と怒りのコメント。

▽7月11日 前日11日に、西名球団社長が福良監督の来季続投を支持する考えを明かしたが、オーナーは「来季の話はやっている人に対して失礼。頭の隅にもない。考えることも考えていない。まあ、とにかくこの後も頑張ってもらうことです」とけむに巻いた。

▽8月18日 ロッテに2-5でシーズン5度目の5連敗を喫し、試合後は「4安打では勝てません。守れないし、打つ方はまさに型どおりの作戦しかやっていない。バントもできないやつにバントさせるし。ベンチも策がなさ過ぎる。今日は機嫌が悪いです」と怒りを爆発させた。

▽10月18日 3年連続Bクラスとなる4位に終わり、シーズン終了の報告に訪れた福良監督との会談で「下の2チームが極端に悪かった。(昨年の最下位から)浮上した気分じゃない」とダメ出し。「1軍半ばかりではダメ。猛練習のバファローズに変えてもらいたい。福良監督が現役のころはもっと練習していた。勝率44%。この4勝5敗(ペース)を優勝なら6勝3敗がいる。2勝分をひっくり返すのは相当チーム力を上げる必要がある」と奮起を促した。

【2018年】▽3月6日 激励会のあいさつで、前年のドラフトで西武と競合の末、田嶋を引き当てたことを「これまでにないことが起こった」と振り返り、96年以来ないVを待ち望んだ。また04年に球団合併交渉を行った近鉄の山口昌紀元社長が17年の年末に亡くなったことにも触れ「あっという間に年月が流れてしまった」と振り返った。

▽4月8日 西武に逆転負けして4連敗となり「見るに堪えない」とバッサリ。好投していた先発の山岡が2-1の7回に逆転打を浴びたことに「継投、失敗何度目や? 球威落ちとったからね。僕でも7回に代える」と、柔和な表情とは裏腹に怒気を含んだ言葉を並べた。最後に「まあ、こんな日もあるでしょう」と明るく奮起を促したが、重苦しい空気が漂った。

▽5月24日 球団草創期から尽力してきた村山元球団本部長が亡くなり「本当に悲しいです。本当によくやってくれました」としのんだ。

▽8月7日 今季9度目の完封負けで、最初は担当記者の取材に沈黙。数秒後に「何とかしてくれよ! ハッハッハ」。もう笑うしかない、という表情で車に乗り込んだ。

▽同24日 逆転勝利を見届け「1つ勝つのは難しい。ディクソンがいいピッチングをしていたからね」と先発右腕に4勝目がついたことを喜んだ。ギリギリでAクラス争いを続けるチーム状況に「オーナーも苦労しています」と言いながらも、観戦の家族とハイタッチで喜び合った。

▽10月26日 西村新監督の就任あいさつを受け「私もそれほど若くない。3年先、5年先というわけにはいかない」と冗談めかした口調ながら、真剣な目つきで優勝を求めた。

▽11月28日 金子、西と主力投手を失う可能性がある状況に「そりゃあ、今その(編成の)シーズンじゃないか。あんまりあわてなくていいんじゃない」。抜けると痛いかと聞かれると「もちろん。でも抜けないと思っている」と笑顔で真意を包み隠した。

▽12月1日 阪急・オリックスOB総会に出席し、金子、西の残留を熱望。チームは中島が巨人へ移籍。「まだ分からないですけどね。そういうことがあるという前提で編成していくのが僕は基本だと思うけど、出て行く人に『さあどうぞどうぞ』って言ってるわけでは全くない」と話した。総会の冒頭のあいさつでは「私も優勝して胴上げしていただいた感触はすっかり忘れました」と笑って冗談も飛ばし「何とか強いチームを一生懸命作ります」と宣言した。

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