高卒ルーキーが鮮烈な東京ドームデビューを飾った。1-0の4回1死、5番の度会隆輝内野手(19=横浜)が右中間へソロを放った。

「打った瞬間、いったな、と。めちゃくちゃうれしいです」。二塁手前でガッツポーズした。初回の好機では、JR東海・戸田のフォークに三飛。「1回、フォークを見ているので、次はミスショットしない自信がありました」と、次の打席で、そのフォークを仕留めた。

日本一へ強い思いを抱く。「兄も優勝して、父がいたヤクルトも優勝して、次は自分が優勝する番だなという思いが強いです」。11月25日に、兄基輝内野手の中央学院大が明治神宮大会で優勝。その2日後、ヤクルトが日本一になった。父博文さんはヤクルト元内野手で、現在はスワローズジュニアの監督などを務めている。

試合前、父からLINE(ライン)が届いた。「お前らしく行け。しっかりやってきたんだから、自分の打撃をすれば必ず結果が出るから」。5回ほど読み返して、気持ちを高めた。3歳で野球を始め、常に「自分を信じろ」と言われてきた。「大きい言葉です」。大舞台の初戦でも、背中を押してくれた。

兄からは「やったれ」と届いた。明治神宮大会中、弟から兄へ「やったれ」と送っていた、そのお返しの激励だった。

本職は内野手だが、この日は右翼で出場。成長著しい若手の活躍に、大久保秀昭監督(52)は「うれしいねえ。うれしいです。19歳の高卒1年目が、いきなりホームランを打つんですから、たいした者です。それぐらいの素質は持っていると思います」と喜んだ。入れ込みすぎて空回りすることだけ心配していたが、杞憂(きゆう)だった。度会は「今、とてもいい状態なので、この調子を継続していけるように頑張りたいです」。13年以来の日本一へ、まだまだ打つ。【古川真弥】