阪神伊藤将司投手(25)が新たな武器を手に、開幕投手奪取を宣言した。25日に兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で自主トレを行い、フォーク習得に自信を見せた。

今月に沖縄県内で合同自主トレを行ったオリックス能見篤史投手から新球マスターへの助言をもらった。矢野燿大監督から開幕投手候補に挙げられ、2年目左腕も意欲十分。必殺フォークで大役をつかむ。

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伊藤将が球団史上初の栄誉を真っすぐに見つめた。矢野監督が開幕投手の候補として、青柳、秋山、西勇とともに自らの名を挙げていた。球団で2年目以内の左腕が過去に誰も大役を務めたことがない。「(開幕投手は)チームの中で頼られる投手だと思う。開幕に投げられたら光栄ですし、そこを目指して先発をやっている。目指して頑張りたい」と意欲を燃やした。

実績では3人の先輩右腕に劣るが、伸びしろは最もある。この日、伊藤将は鳴尾浜でキャッチボールなどの軽めのメニューをこなした。沖縄県内で行っていた合同自主トレを24日に打ち上げたばかり。南国の地ではオリックス能見からフォークを学ぶことがテーマの1つだった。能見といえば宝刀フォーク。新人王の宮城が「最高のお手本。投げたいように投げられるイメージ」と話すほど。そんなベテラン左腕は伊藤将に「真っすぐより腕を振る感じでたたきつけるように投げる」と助言。三振の決め球としての握り方も教わった。「握りも少し違っていた。あとは練習して実際に投げられるようにしていくだけ」。2年目のジンクス打破へ、今後は実戦で決め球を試していく。

変化球だけでなく、直球の大切さも学んだ。「調子が悪い時にストレートが軸になる」とアドバイスを受けた。能見がブルペンで直球を中心に投げる姿を目に焼きつけた。「真っすぐがあっての変化球だと能見さんもそういうことを言っていた。やっぱり基準は真っすぐだなと思ったので、しっかり真っすぐの質も上げていきたいなと思いますね」とフォークを生かすために速球も磨いていく。

昨季はルーキーながら先発投手として10勝をマーク。ドラフト制後の球団新人左腕の2桁勝利は、67年の江夏豊(12勝)以来54年ぶりの快挙となった。矢野監督が開幕投手候補に挙げたのはさらなる飛躍を期待してのこと。自主トレでヒゲを蓄えたが「そります(笑い)。まだ2年目なので」。2月1日までにスッキリする予定だ。「キャンプインしたらどんどん投げていこうかなと思っています」。必殺フォークで開幕投手争いを勝ち抜く。【三宅ひとみ】

◆阪神伊藤将の投球スタイル 球の出どころが見えづらい投球フォームから最速146キロの直球を軸に多彩な変化球を投じる。変化球の球種はカーブ、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ。左打者の内角に投げ込むツーシームは威力抜群。打者の手元で動くカットボールも制球力があり、ベース板を広く使うタイプ。打たせて取るスタイルではあるが、三振を奪う決め球の必要性を感じていた。