三塁バトル開戦! 阪神大山悠輔内野手(27)と佐藤輝明内野手(22)が30日、1軍キャンプ地の沖縄・宜野座での先乗り自主トレ最終日に今オフ初めて三塁ノックで競演した。矢野監督は近本以外のレギュラーを白紙とし、中でもOS砲による「三塁&4番争い」は2月1日からのキャンプ最大の目玉。2人は冷静なコメントに終始したが、充実の自主トレ期間を経て、仁義なき戦いが幕を開ける。

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時にほほえみ、時に鋭い目つきで。大山と佐藤輝は黙々と三塁でノックを受け続けた。青色の迷彩のトレーニングウエアにハーフパンツの“おそろいコーデ”の2人が、軽快にゴロを処理していく。気温20度に迫る陽気のもと、佐藤輝がランニングスローで軽快さを示せば、大山が強く安定した送球を披露。三塁争いの開戦を告げるかのように約17分間、ノックが放たれる音が響き渡った。

佐藤輝は「ライバルみたいに意識することは特にないです」と先輩を間近にしたノックでも平常心を強調した。「真面目に取り組む姿勢を常に見習っています」。真摯(しんし)に練習に向き合う先輩へのリスペクトを忘れず、「自分は自分のやることをしっかりやりたいと思います」と自らにベクトルを向けた。

大山にしても、静かに闘志を燃やす姿勢は同じだった。定位置争いについて「しっかり頑張ります」ときっぱり。秋季練習では有事に備えて左翼を守った一方、早出で三塁の練習も欠かさなかった。2月1日のキャンプインへ向けて「1カ月しかないと思って時間を無駄にしないように。時間はもう決まっているので、その時間で自分が何ができるか、どうしたらいいか常に考えてやっていきたい」と向上心は尽きない。

矢野監督は「レギュラーは現状近本しかいない」としており、中堅以外は白紙。昨季の三塁スタメンは大山が122試合、佐藤輝が12試合と実績では大山が上でも、競争が求められている。佐藤輝は近大時代に守った内野にかねて強い思いを持ち、今季から内野用グラブを通常より大きめに改良。捕球に重きを置いた相棒とともに「もちろんしっかり練習していきたい」と三塁守備のアピールを欠かさないつもりだ。

矢野監督は「この争いがチームを強くすると思うし、本当の4番ができると思う」と4番争いにも期待している。過去3年期待をかけられた大山、昨季24本塁打の佐藤輝はそろって室内で打ち込みを行った。南国の気候に慣れ、2日間の先乗り自主トレを打ち上げた。守備に打撃に、左右の大砲から目が離せない1カ月になりそうだ。【中野椋】

◆昨年の大山と佐藤輝 4月に合わせて11本塁打などそろい踏みした。5、6月には佐藤輝が好調を維持し、故障の大山の不調を補った。後半戦で佐藤輝がNPB野手ワーストの59打席連続無安打と大失速すると、大山は9月以降打率3割1分6厘と打線をけん引した。なお2人のアベック本塁打は、4月15日広島戦、6月3日オリックス戦、同12日楽天戦の3度あった。