<練習試合:阪神2-6日本ハム>◇8日◇沖縄・宜野座

虎には「BIG MONSTER」がいる! 阪神佐藤輝明内野手(22)が8日、敵の新庄剛志監督(50)に絶賛されるマルチ安打を決めた。今年12球団初の対外試合となる日本ハム戦(宜野座)に4番右翼で出場。初打席で左前適時打を放つなど2安打1打点で、「素晴らしい」とベタぼめされた。負けじと大山悠輔内野手(27)も22年1号をマーク。阪神OBの新庄監督も思わず首を突っ込む白熱の4番バトルになってきた。

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「ナイスバッティング!」。一塁側スタンドに構えるプレハブ小屋から声が飛んできた。主はなんと新庄監督だ。一塁ベース上に到達した佐藤輝は、BIGBOSSのまさかのほめ言葉に反応できなかった。敵将が思わず声をかけたくなったのは、初回2死三塁での左前適時打。「いいフォームだったね。1打席目の佐藤クンの三遊間(の当たり)なんて素晴らしい。ああいう打撃をできる子だし、続けていってほしいですよね」とうならせた。

直球待ちで右腕立野の122キロ変化球を反応で捉えた。22年のチーム初の対外試合。しかも注目の新庄軍団とのマッチアップだったが、初打席で冷静に初得点を生み出した。絶賛の声を伝え聞いた背番号8は「うれしいです」とにっこり。試合中の呼びかけは「聞こえなかったです」と苦笑いしたが、豪快なアーチではなく、三遊間をライナーで破る軽打に「良かったと思います。打てるフォームに近づいているんじゃないですか」と納得顔だ。

第2打席にも右腕の谷川から右翼線へ弾丸二塁打を放ち、5日の紅白戦を含めた実戦2試合は7打数4安打2打点。負けじと1発を放った大山との4番争いはほぼ互角か。順調な滑り出しに、井上ヘッドコーチも「ちょっと変わってきたね」とうなずく。「抜いてやってしまうところも、ちゃんと力を入れて振れている。2年目の自覚と、去年の悔しさを持ち合わせて臨むというのが、今のところはやれている」。練習に対する意識の変化も好結果につながっていると分析する。

大山に代わり、6回表からついた三塁守備でも鋭い三直をキャッチするなど無難にこなした。この日は気温20度を超え、今キャンプ最多の約1000人が宜野座に詰めかけた。北京五輪の真っただ中でも注目度抜群の試合で、結果を出すあたりも2年目の進化か。「(新庄監督が)いろんなところから見たりして面白いなと。オーダーも外野手が内野を守っていて面白いし、声がすごい、元気なチームだなと思いました」。周囲を見渡し、楽しむ余裕さえあった。VS新庄監督第2ラウンドは11日。今度はビジターの名護で、BIGBOSSをもっと驚かせる。【中野椋】

◆新庄監督と佐藤輝 新庄氏は昨年2月12日に、阪神の宜野座キャンプを訪問。紅白戦での佐藤輝のスイングを見た際、1球のファウルで高い能力を確信した。「逆方向にも放り込める。バットのボールへの『入り』が、バリー・ボンズと似てますもん」と大リーグ最多の762本塁打を誇るスラッガーになぞらえて絶賛。さらに「あのバットの軌道なら変化球が来ても、ライトにも打てる。ボンズのようにバットを指2~3本空けて握れば、もっとボールが長く見られて、バットコントロールができて打率も稼げるんじゃないかな」と指南していた。