昨オフソフトバンクを戦力外になり、阪神に拾われた渡辺雄大投手は野球人生をかけてキャンプに臨んでいる。8人いる育成契約で唯一、1軍宜野座に抜てきされた。5日の紅白戦では佐藤輝を内角ツーシームで攻めて二ゴロに打ち取るなど、左殺しの存在感を出している。

青学大2年時に横手投げに転向した。卒業後4年間プレーしたBC・新潟では野球だけで生活できず、ホームセンターでアルバイトも経験。26歳の時、育成契約でソフトバンクに入団した。少ないチャンスをものにし、3年目で支配下登録をつかんだ。だが、デビュー3試合で左肘を痛めて離脱。昨季はフルシーズン投げたが、思う投球ができずに戦力外となった。

大学時代のチームメートで同い年のオリックス杉本は30歳の昨年、本塁打王を獲得する大ブレークを遂げた。渡辺は30歳で再び育成となったが、はい上がった球友の姿が何よりの励みだ。昨年の阪神入団会見で「今度は自分の番だと思っています」と宣言。ラオウに続く遅咲きに、期待の春だ。【阪神担当=石橋隆雄】

◆渡辺雄大(わたなべ・ゆうた)1991年9月19日、新潟県生まれ。中越では3年夏の新潟大会で準優勝。甲子園の出場経験はなし。青学大の同期にオリックス杉本、ロッテ東條らがいる。BC・新潟では4年間プレーした。17年育成ドラフト6位でソフトバンク入団。3年目の20年に支配下となり、21年オフに戦力外。阪神と育成契約した。1軍通算は9試合、0勝0敗1ホールド。防御率3・18。昨季2軍では34試合で防御率1・67。今季推定年俸は450万円。185センチ84キロ。左投げ左打ち。