最速154キロ右腕、阪神ドラフト1位森木大智投手(18=高知)が、プロ初実戦で150キロ超連発、無失点デビューを飾った。教育リーグ中日戦の8回に4番手で登板し、1回1安打無失点。全11球のうち直球が8球でその全てが150キロ台だった。同4位の前川右京外野手(18=智弁学園)は4番で3安打、同7位の中川勇斗捕手(18=京都国際)もプロ初安打を放ち、平田2軍監督は「花の高3トリオ」とべた褒めだった。

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マウンドに一礼し、森木は戦闘モードに入った。投球練習で140キロ中盤だった直球が、先頭石橋の初球にこの日最速152キロまで跳ね上がった。力ない三ゴロに片付け、続く石垣は中飛。2死から石岡に中前打を許したが、ブライトを151キロ直球で空振り三振に仕留め、初実戦を終えた。

「昨日あたり緊張してて…」と18歳らしい本音も明かしたが、前日10日には高知に住む家族からのメッセージに勇気をもらった。「大丈夫でしょ! と思って。朝起きたら吹っ切れてました」。クールな表情で堂々と腕を振った。

「初の対外試合で、変化球でいくのは僕らしくない」。テーマは真っすぐ。高知中3年時に軟式で最速150キロをマークした原点の1球で走りだしたかった。投じた11球のうち直球が8球。その全てが150キロオーバー。「そんなに出ると思ってなくて。いい方向にいってるんじゃないかな」と手応えを口にする一方、「フォーム的にもばらついているところがある」と反省も忘れなかった。

高卒バッテリーを組んだ中川とのコンビもバッチリ。前川も4番で3安打を放ち、平田2軍監督は「昔あったでしょ中3トリオって。桜田淳子、森昌子、山口百恵。虎の高3トリオや」と独特の表現でルーキー3人をたたえた。高知・安芸キャンプ中に新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が発生したため、2軍は2月20日以来、19日ぶりのゲーム。ハツラツプレーで虎の明るい未来を予感させた。

森木は次回、1週間程度間隔を空けてから複数イニングを投げる予定で、「対バッターの感覚を取り戻していく」とテーマを設定。まだまだギアを上げていく。【中野椋】

▽中日ドラフト1位ブライト(森木に空振り三振)「高卒とは思えない。真っすぐよりもスライダーがすごくいいと思った。あれでフォークとか、球種が増えたら怖い。(真っすぐは)スピン量とかがもっと上がってきたら手がつけられなくなる」

▽阪神安藤2軍投手コーチ(森木について)「順調じゃないですかね。これからイニングも伸ばしていく。ボール自体は1軍でも通用するボールを投げている」

◆花の中3トリオ オーディション番組「スター誕生」で歌手デビューした森昌子、桜田淳子、山口百恵の3人娘の呼び名。73年、当時中学3年生で「花の中3トリオ」と命名され、高3までの4年間にわたり進級するごとに呼び名が変わった。

▽阪神村上(2軍合流後初登板し先発で5回1安打無失点)「変化球でゴロを打たせるのはイメージ通り。(課題は)ボールの強さが自分には足りない。もっと求めていきたい」

◆藤浪の初実戦 13年3月2日、高知・安芸でのオリックスとの練習試合に先発。1回は安打と四球でいきなり無死一、二塁のピンチを迎えるが、T-岡田を3球三振に仕留めるなど後続を断ち、2回も無安打に抑えて2回1安打無失点2奪三振の快投。最速は145キロをマークした。