日本ハムのアリエル・マルティネス捕手(28)が「目」でチームの連敗ストップに貢献した。5回2死での一塁守備。中越え二塁打と思われた西武野村大が、一塁ベースを踏み忘れて二塁へ向かったことを冷静にチェック。直後のアピールプレーでアウトにした。一塁手として毎回欠かさず行うルーティンだが、鋭い観察力と洞察力でチームを救い、1週間ぶりの勝利に貢献した。
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マルティネスは、見た。5回2死。凝視したのは、中越えの打球を放った野村大の足。二塁へ向かうために一塁ベースを蹴る瞬間だ。「踏んでないな」。右足で一塁ベースの角ギリギリを攻めていた野村大の右足は、ベースを踏んだように見えなかった。
次にマルティネスは、一塁塁審を見た。「塁審も結構(ベースを踏んでいないことに)反応しているような感じで、何回も塁を踏んだか確認しているのが見えた」。判定を下すのは自分ではない。同じように確認しているはずの塁審の様子で手応えが膨らんだ。
さらにマルティネスは、自らの経験値から注意深くなっていた。過去にアピールプレーを成立させたことが多々あるという助っ人は「打者が久しぶりに1軍に上がってヒットを打った時に、そういうことが起こりやすい。特にそういう時は確認している」という。
だからマルティネスは、見逃さなかった。野村大はソフトバンクからトレード移籍したばかり。新天地での初安打も出ていない状況で「いい打球だったから打球を見つつ、たぶん直前になってベースを見たので、そういうミスが起こったんじゃないか」と見立てた。
最後にマルティネスは、仲間にも後押しされた。「ベンチの選手たちもアピールしていた。だから山崎にアピールプレーをするように言ったんだ」。日頃の準備に観察力や洞察力もフル稼働。アピールプレーは無事に成立し、二塁打だった記録は投ゴロに変わった。
涼しげにマルティネスは、言った。「いつもやっていることだよ」。新庄監督も「それ普通じゃない?」と言いながらもニヤリ。延長戦に持ち込まれたが、最後は勝ちきった。やるべきことを怠らずにやるのが勝利への近道。チーム1週間ぶりの勝利が、そう教えてくれた。【木下大輔】



