ソフトバンク山川穂高内野手(32)は不退転の決意でリーグ優勝に貢献した。
西武時代の昨年5月に強制性交容疑で書類送検。同8月末に嫌疑不十分で不起訴処分となったが、球界をざわつかせたFA宣言は注目を集めた。ソフトバンク側は会社をあげての入念な周辺調査を敢行。その結果を総合的に勘案し、獲得に動いた。
移籍後の山川は「結果で許してもらおうとは思っていない」とハッキリ言った。誠意は言葉ではなく、行動で示した。技術を追求するスラッガーには自然と人が集まる。山川は事細かに、丁寧に、悩める選手と技術論を交わした。最も重んじるのは雑談。「雑談から生まれることがある」が口癖だった。報道陣への対応も人一倍に丁寧だった。
FAを行使した時、山川は西武関係者の全員に電話をかけた。感謝、別れ、後ろめたさ。さまざまな感情を抱きながら自らの決断を古巣に告げた。けじめをつけてホークスにきた。
「不動の4番」として32本塁打、94打点をマークした。打撃2冠を走る主砲にはちょっとした“後悔”がある。「僕ね、ピッチャーやれば良かったなって思うんですよ」。理由は「野球だけ攻撃側が受け身だから」と言う。「ピッチャーは常に自分が主導。だから自分でどうにかできる。でもバッターは来るボールを打つわけで、どうしても受け身になる。打ちにいく努力はしますけど、自分でどうにもできないことがありますから」。サッカー、ラグビー、アメフトなど他競技を見れば納得の考え。受け身の状態で、今季は通算250本塁打も達成した。
「優勝とタイトルはセットでなければいけない」と話すのが山川。6月は月間0本塁打で苦しみ「悪い月の方が記憶に残る。その時に周りがカバーしてくれたので大変助かりました」と頭を下げた。山川は最後まで真摯(しんし)だった。【只松憲】



