<巨人12-0ヤクルト>◇5日◇東京ドーム

 大爆発した重量打線の陰に隠れてしまったが、先発東野峻投手(23)の投球も見事だった。チームにとって今季初の完封を無四球で飾り、ハーラー単独トップの6勝目。序盤の大量リードにも気を緩めることなく、スコアボードに9つのゼロを並べ「今年の先発陣の“完投1号”になろうと思っていた。初回に5点をもらった時点で絶対に完投しようと心に誓った」と、134球の熱投を振り返った。

 投球の幅が広がった。従来の直球とスライダーだけではなく、この日はカーブとフォークボールを効果的に使った。先発ローテの一角を任されながら8勝どまりだった昨季の経験を生かし「去年はすべての打者に全力で向かっていったけど、今日は力を入れたり抜いたりできた」と胸を張った。期待が大きい東野には辛口のコメントが多かった原監督も「見事ですね」とうなるしかなかった。

 今季初登板で敗れて以降は6戦全勝で、先発陣の中心にどっかりと座っている。「今年は自分が引っ張っていくという気持ちでやっていますから」。マウンドと同様の引き締まった表情で試合後の取材に応じた東野には、もう1つ好調の秘訣(ひけつ)がある。「食事面でも気を使ってくれるし、休みの日は家にこもらず2人で外出するようにしていることもいいリフレッシュになっています」。オフに結婚した杏奈夫人の話題になると、ようやく柔らかな笑みが広がった。【広瀬雷太】

 [2010年5月6日9時6分

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