巨人のドラフト1位ルーキー沢村拓一投手(22=中大)が11日、2度目のフリー打撃に登板し、度胸、リズムともに満点の投球を見せつけた。S班の阿部、ラミレス、高橋、谷、小笠原ら球界屈指の強打者に対し、ひるむことなく52球を投げ込み、安打性は7本だった。課題の投球リズムも進歩の跡を見せ、原監督ら首脳陣から合格点を与えられた。坂本のバットを2本へし折った6日のフリー打撃初登板から評価は日に日に上昇する。15日の紅白戦先発に向け、いよいよエンジンがかかってきた。
新人だからこその、大胆不敵な投球だった。バックネット裏のファンからの拍手と歓声の中、沢村はマウンドに立った。緊張が漂う中、巨人を代表する強打者たちを前にしても、思いきって腕を振った。
52球の中でも最初の11球は小笠原、高橋を相手にファウルの連続。前に飛ばすことすらさせなかった。小笠原への初球は内角ボール。2巡目の5球目も内角をえぐった。ケージの周りのコーチから「おいっ!」と声が上がる。死球スレスレの投球に、ルーキーのガムシャラな心境がにじみ出た。2度目のフリー打撃を振り返り「いい緊張感はありました。先輩の胸を借りるつもりで思い切って投げました」と新人は真っすぐなコメントを残した。
実戦で修正するタイプだ。キャンプ初日のブルペン、2日のブルペンでもリズムが悪く、直球の制球も荒れていた。だがこの日は、10分間という限定の中、先に投げた越智は43球、山口は45球と、フリーを投げた3人では一番球数が多く、テンポの良さを見せた。「ストライクをポンポン投げようと思って入りました。ブルペンよりバランスがよくて打者が立ってストライクを放れたのはよかった」と、自分のテーマをしっかりと意識していた。
評価も日増しに上がっている。原監督は「リズム良く、あれだけのペースであれだけの相手の中で、息も上がらず投げられているのは、非常にメカニックもいいんでしょうね。現段階で我々が求めるハードルを常に越えて来てくれている」と喜んだ。川口投手総合コーチは「テンポを速く投げているように見えた。今日は一番まとまっていたんじゃないですか。147キロ出てたら、なかなか打てないでしょう。今、一番速い投手ですからね」と、現時点での速球王に認定した。
3度目のブルペンに入った5日、直球に威力もなく「一番悪かった」と反省した。それでも「(球の)速さが売りで来ているので、どこまで通用するか試してみたい」と、自身の長所は熟知している。この日のフリー打撃では変化球はスライダー1球、カーブ1球のわずか2球。「今日は変化球よりも直球の回転や腕の振りを意識しました」。日本ハム斎藤は前日10日のフリー打撃で「打たせよう」と意識したが、沢村は対照的に一心不乱にミットめがけて投げ込んだ。
15日にはいよいよ紅白戦で先発する。ケガもなく順調な仕上がりを見せている。「すべてが新鮮で、1日1日無駄にすることなくできています」と、充実した表情だ。実戦は開幕ローテーションへのアピールの場。思う存分、力の限り沢村は腕を振りまくる。【斎藤庸裕】
[2011年2月12日8時12分
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