<中日1-0巨人>◇16日◇ナゴヤドーム

 守道竜が劇的なサヨナラ勝ちで、巨人のマジック点灯を阻止した。0-0で迎えた延長11回1死満塁。平田良介外野手(24)が中堅へ決勝犠飛を打ち上げた。浅い当たりだったが、代走柳田殖生内野手(30)の好走塁が光った。総力戦での勝利に、高木守道監督も「窒息しそうだった」と大興奮。巨人に2勝1敗と勝ち越し、再び4・5差に接近した。

 平田が打ち上げた中飛は浅かった。だが三塁走者柳田は迷わずホームへ突っ込んだ。タイミングはアウトだ。すでに3時間半を越え、併殺で引き分けの試合終了か。だが阿部のブロックをかいくぐった柳田の右手が一瞬早くホームに触れた。劇的なサヨナラ勝ち。激闘を制し、巨人のマジック点灯を阻止した竜ナインが喜びを爆発させた。

 柳田

 上がった瞬間(三塁)上田コーチに聞いたら「行こう!」でした。正面だとつぶされると思い、右手でベースに触りました。

 平田

 低めを捨てて、高めをがっついて行こうと思った。すごく浅かったので柳田さんに感謝です。勝つと引き分けではすごく違う。勝ち越したので優勝も狙える。あきらめてません!

 地元名古屋でマジックは点灯させられない。延長11回1死満塁。先頭和田が内野安打で出ると、何と4番森野が送りバント。さらに井端の四球に谷繁も右前打でつなぎ、一塁からガッツポーズで次の平田を鼓舞した。この時、和田の代走で三塁に進んでいたのが柳田。「後輩たちもみんなプロを目指している。テレビで見てくれているんで頑張ってる姿を伝えたかった」。NOMOベースボールクラブ出身の苦労人が闘魂の決勝点を奪った。阿部にぶつかった際に左膝を打撲。包帯をグルグル巻きで帰宅したほどのガッツを見せた。

 71歳高木監督も興奮を隠せなかった。「苦しいどころじゃない。窒息しそうだった」とジョークで登場。「もう、イチかバチか。代走はタイム走で一番いい柳田を出したけどよくブロックを避けた」と大絶賛だ。

 7回0封の中田賢からソーサ、田島、山井とつないだ執念の無失点リレーもお見事。「こういうゲームを勝てたのは大きいし、運も残ってるんやない。ゲーム差を考えるとイヤになるけど、巨人に2勝1敗は御の字。それ以上言ったら何を言うとると言われるわ」。スマイル全開の4・5差再接近。逆転3連覇へ守道竜が息を吹き返し、G追撃態勢を整えた。【松井清員】