<西武11-2楽天>◇14日◇西武ドーム

 反省の残るデビュー戦だ。楽天のドラフト4位ルーキー古川侑利投手(19)が西武戦(西武ドーム)でプロ初登板。0-10と一方的な展開で、7回に3番手でマウンドに向かった。先頭中村への四球から無死満塁を招き、秋山には押し出し四球を与えた。1回を2安打1失点。ほろ苦い内容となった。

 ついに、出番が来た。古川はブルペンから小走りでマウンドへ向かった。0-10と大量リードを許した7回。失うものは何もなかった。佐藤投手コーチに声をかけられ、一呼吸ついた。投球練習を終え、セットポジションを取る。迎えるは、西武中村。いきなり、屈指のホームラン打者が相手だ。気持ちが高ぶった。ストライクが入らない。四球を与えた。

 古川

 緊張しました。思い切り投げてやろうと思ってましたけど、投げたい気持ちが先走ってしまいました。

 反省の言葉を並べるしかなかった。中村の後は、メヒア、森に連打を浴び、塁を埋めた。さらに、秋山に押し出し四球。後続は断ち、最少失点にとどめはしたが「四球が絡んで塁を埋めるのは、本当にダメです」と、自らを責めた。

 結果は出せなかったが、2軍で着実に力をつけた。14試合で2勝1敗2セーブ、防御率3・26。8月22日のイースタン・リーグ、ロッテ戦では6安打に抑え、スコア1-0の完封勝利を成し遂げた。チームが下位に沈む中、積極的に若手を使う星野監督の方針に合致。11日に初昇格し、今季新人では6人目となる1軍デビューを果たした。

 試合前、星野監督は「古川は、どこかで使うよ。良かったら、いずれ先発でも」と青写真を描いていた。正反対の内容となり「まだまだだな。おかわり君(中村)に打たれればいいのに。四球、押し出しじゃ、いかん。そういうヤツは使えん」と酷評。最も嫌う四球絡みの失点だけに厳しかった。ただ表情は穏やかだった。高卒1年目の最初の試合。まずは、舞台での経験を与えた。古川は「次、チャンスをもらえたら四球を出さずに、打たれてもいいぐらいの気持ちで投げたいです。同じ過ちをしないように」と言った。何がいけなかったか、痛感している。これを糧に、次だ。【古川真弥】

 ◆古川侑利(ふるかわ・ゆうり)1995年(平7)9月8日生まれ。佐賀・武雄市出身。有田工3年夏に同校初となる甲子園出場を果たす。1回戦の大垣日大戦で9回4失点完投勝利。最速148キロの直球に、キレのあるスライダーが武器。契約金3000万円、年俸600万円(ともに推定)。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。