<第1回プロ野球12球団合同トライアウト>◇9日◇静岡・草薙

 本年度1回目の12球団合同トライアウトが9日、静岡市の草薙球場で行われた。投手34人、野手25人の合計59人が参加。東野峻投手(28)がカウント1-1からのシート打撃で、最速145キロをマークするなど打者4人から2三振を奪い、DeNA、広島、ロッテなど複数球団が獲得へ興味を示し、争奪戦の可能性が出てきた。第2回トライアウトは20日に川崎市のジャイアンツ球場で行われる。

 土俵際で意地を見せた。東野は先頭庄司を144キロ直球で追い込むと、スライダーで見逃し三振。続く西川もフォークで連続三振。「真っすぐの力強さをアピールできた。28(歳)なのでまだやりたい。最後になるかもしれないと気持ちを出した」。ここから「新しい自分を見せたい」とスライダー以外の変化球をアピールするためフォークを多用して死球、四球と若干乱れたが、直球は全球140キロ台と威力が光った。

 3年前の巨人の開幕投手には発奮材料があった。スタンドに神戸から4歳の長男、2歳の長女、12月に出産予定の夫人が駆け付けた。巨人時代のライバル内海から「絶対やめるな」と激励された。現役への執念を感じさせるマウンドは、各球団の編成担当を魅了。ロッテ林球団本部長は「いい投球をしていた。どこもみんな思ったでしょう」と評価した。戦力外通告から12日。東野は力で道を開いた。