WWEの「虎の穴」に門戸開放の動きがあった。

 今夏に5周年を迎えるプロレスラー育成施設WWEパフォーマンスセンターがトライアウト参加用の専用サイトをこのほど開設。世界から希望者を募る新たな試みをスタートさせた。

 WWEのリクルート用ウェブサイトURL=https://www.wweperformancecenter.com/#!/

WWEパフォーマンスセンターには計7つのリングが設置されている(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEパフォーマンスセンターには計7つのリングが設置されている(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 同パフォーマンスセンターは東京ドーム面積の半個分近くとなる2万6000平方メートルもの大きさで、7個のリングが設置されている大型施設だ。5年前の開設以来、WWE傘下となるNXTのウィリアム・リーガルGMのもと、元新日本プロレスで活躍したマット・ブルーム(ジャイアント・バーナード)がヘッドコーチを務めている。リーガルGMは現在、全日本プロレスを中心に活躍する元WWEのTAJIRIとの関係が深い。また中邑真輔やアスカ(華名)がWWE入団時にはトレーニングを積みながらNXTに参加。現在でもカイリ・セイン(宝城カイリ)ら70選手以上がトレーニングするなど、日本と縁がある施設とも言えるだろう。

中邑真輔もWWE加入初期はパフォーマンスセンターでトレーニングを積んだ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
中邑真輔もWWE加入初期はパフォーマンスセンターでトレーニングを積んだ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 この5年間で、ロウで活躍する巨獣ブラウン・ストローマンをはじめ、前ロウ女子王者アレクサ・ブリス、前スマックダウン女子王者シャーロット・フレアーらがトップレスラーが育ってきた。公式サイトには「スーパースターの旅はここから始まる。WWEスーパースターになる夢がある」とつづられている。WWEレスラーになることはプロとしての知名度や人気だけでなく、高額な収入も得られる。

 このほど米経済誌フォーブスが17年度の長者番付が発表した。WWE所属選手の年収ランキングでは、過去16度の王座戴冠を誇るジョン・シナが1位。年収は1000万ドル(約11億円)だった。2位には現ユニバーサル王者ブロック・レスナーで650万ドル(約7億1500万円)、3位はローマン・レインズで430万ドル(約4億7300万円)と続いた。中邑との抗争が続くWWEヘビー級王者AJスタイルズは350万ドル(約3億8500万円)で4位にランクイン。10位のケビン・オーエンズであっても、200万ドル(約2億2000万円)を稼いでいる。フォーブスによるとWWE所属選手の平均年収は50万ドル(約5500万円)。来年あたりは中邑も10位以内にランキングされるかもしれない。

フォーブス発表の18年WWE収入ランキング1位のジョン・シナ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
フォーブス発表の18年WWE収入ランキング1位のジョン・シナ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 今回のWWEパフォーマンスセンターのトライアウトにはプロレス経験者だけでなく、他競技のアスリートの参加も広く募っている。世界から集結している強者との競争は決して簡単ではないだろうが、WWE版「虎の穴」にはアメリカンドリームが詰まっていることは間違いない。日本人アスリートたちがWWEパフォーマンスセンターから夢をつかむ。そんなビッグなストーリーを実現する日本人プロレスラーが今後登場することを、取材する記者の1人として楽しみにしている。【藤中栄二】