総合格闘技RIZINは31日、埼玉・さいたまスーパーアリーナで33大会を開催する。新型コロナ感染拡大の影響もあり、ほぼ完全な形での開催は約2年ぶりとなる。

チケットは最高で20万円、最低でも1万3000円と高額にもかかわらず、12日に一般発売が開始された前売りチケットは、わずか3時間足らずで完売。演出プランを見直し、アウトレット席を増設する人気となった。15年大みそかに旗揚げして、丸6年。RIZIN大人気の秘密と、今後の展開を探った。

RIZINの特徴として特筆すべきなのが、その多様性だろう。総合格闘技(MMA)の団体ながら、MMAはもちろん、キックボクシング、ミックス、グラップリング、パンチのみの立ち技など、さまざまなルールで試合を開催。さらには、女子格闘技や、他団体の王者が拳を交えるなど、既存の団体と一線を画した格闘技団体として、多くのファンの心をつかんできた。

16年にキックボクシング界の神童那須川天心がMMAルールで衝撃参戦を果たすと、18年にはボクシング元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(米国)とのドリームマッチを実現させた。17年~18年にデビューした朝倉未来、海兄弟は、ユーチューブに進出して活躍。100万人を超えるチャンネル登録者を獲得するなど、若年層に人気となるきっかけを作った。20年の大みそか大会には、ユーチューブを本業とするシバターが「逆輸入」参戦して話題となった。

榊原信行CEOはRIZINの魅力に「人間ドラマ」を挙げる。ただ格闘技を見せるだけではなく、人生や生き方にフォーカスした演出を行うことで、唯一無二の団体を作り上げてきた。理念は、「完結」「息吹」「未来」の3つの柱。「完結」は、日本の格闘技界を支えた選手たちの最終章を彩る舞台を作ること。「息吹」は世界に通用する格闘技文化を作ることだ。11月には新大会トリガー大会を神戸で旗揚げ。ナンバー大会ではスポットが当たらない選手や、再起をかける選手を多く起用することで、日本格闘技界の底上げを図った。

そして、「未来」は、日本から世界に通じる次世代のスター選手を育成すること。今大会でMMAデビューを果たす三浦孝太(19)は、サッカー元日本代表FWカズ(三浦知良)の次男。榊原CEOは大みそか大会に大抜てきした理由を「ファンとともに選手を育てていきたい」と説明する。「選手をデビュー戦から見られる機会なんてほぼない。誰もが知るスーパースターの遺伝子を持った選手がこれからどうなっていくのか。彼が日本人として世界に通用する選手になるのかを見届けてほしい」と、期待を込める。

RIZINは、格闘技としての多様性、あこがれのスター選手、そして人間ドラマ…、さまざまな角度から楽しめる格闘技エンターテインメントだ。【勝部晃多】