前WBO世界バンタム級王者ジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)がWBO世界スーパーバンタム級8位赤穂亮(36=横浜光)と臨んだ約1年4カ月ぶりの試合はノーコンテスト(無効試合)となった。

メインイベントの同級10回戦で拳を交え、2回に突進したところに赤穂にパンチを当てられてダウンを喫した。立ち上がった後、猛攻した際、後頭部にパンチを当てて赤穂が大ダメージ。いすに座った赤穂の回復を待ったものの、立ち上がることができずに試合終了のゴングが鳴った。

同興行を運営した元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏が試合結果についてリング上で説明。「ラウンド前半の後頭部へのパンチで試合続行不可能ということで、ローカルルールで無効試合となりました。ボクも残念です。申し訳ございません」と観客に謝罪した。

試合後、カシメロはWOWOWのインタビューに応じ「(ダウンは)何のダメージもないです」と淡々と応じた。赤穂への後頭部へのパンチについて「第1ラウンドで彼にダメージを与えていた。最初にダメージを与えたのは私だ。彼からも押し返された。後頭部はわざと打ったわけではない。映像を見てください。それを見れば何のウソもない。既に彼はダメージを受けていたのです」と意図的ではないと強調した。

さらに「テンプル、あごに当てている。後頭部に当てていない。映像を見てください」とキッパリ。ダウンを喫した場面についても「私のパンチが先に当たっている」とダウンではないと主張した。今後、スーパーバンタム級を主戦場にするかどうかについて「マネジャーに相談して決めること。次の試合に向けてトレーニングする。私は勝ったと思っている。すべてのファンのみんな、私のチームもありがとう」と締めくくった。

カシメロにとって21年8月、米カーソンで臨んだギジェルモ・リゴンドー(キューバ)戦以来の試合だった。同年12月、UEAドバイでポール・バトラー(英国)との指名試合が組まれながら、試合直前の自らの胃腸炎による体調不良で中止に。今年4月に英リバプールでバトラー戦が再セットされながら、英国ボクシング管理委員会で禁止されている減量時のサウナ使用で出場停止処分となり、WBOから王座剥奪されていた。赤穂戦発表時にはビデオメッセージで登場したカシメロは「初めてのスーパーバンタム級での試合なので本当にベストを尽くす。赤穂に勝ったら次は井上尚弥とやりたい」と強気な“カシメロ節”で希望していたが、久しぶりの試合がまさかのノーコンテストとなった。