プロボクシングIBF世界フェザー級3位の阿部麗也(30=KG大和)が、自慢の“高速ボクシング”で世界挑戦切符をつかんだ。

世界挑戦者決定戦で、歴戦の同級2位キコ・マルチネス(37=スペイン)を、フットワークを駆使したアウトボクシングと、やりのような左ストレートで終始圧倒。3-0の大差判定勝ちを収めた。

まるで闘牛を見ているようだった。阿部は低い姿勢で前進して強打を繰り出すマルチネスを、サイドステップでクルクルとかわし続けた。相手が飛び込むタイミングに合わせて、サウスポーからの左ストレートが面白いように決まる。マルチネスは3回に鼻の右上を、6回には右目尻をカットして顔面血まみれになった。

2回に左アッパーを食って腰を落とした場面以外は危なげのない圧勝。「相手がプレッシャーをかけてくるのは分かっていたので、自分のパンチを当てて、サイドに動いて、相手の距離にならないようにした。苦しい場面もあったが、気持ちが折れずに最後まで戦い、勝つことができた」と阿部、思い描いていた通りの展開だった。

相手はIBF世界スーパーバンタム級王者時代の14年4月に、長谷川穂積に7回TKO勝利を収めた実績を持つ。21年11月にはIBF世界フェザー級王座も獲得している。世界での実績のある強豪に完勝したことで、阿部は世界王座挑戦者としての資格と実力を自らの拳で示した。【首藤正徳】