ボクシング元世界2階級王者井岡弘樹氏(井岡ジム会長)のおい、井岡一翔(かずと=19)が「ガチンコ路線」で世界王者を目指す。18日、大阪市の同ジムでB級ライセンス(6回戦)のプロテストを受験し合格。東農大を中退してプロに転向した元高校6冠王に、おじの弘樹会長は「かませ犬とはやらせない」と話し、いばらの道を歩ませることにした。現役の日本ランカーにオファー中のデビュー戦は、4月12日に大阪府立体育会館のメーンに内定。地上波テレビ局3社から、早くも中継の申し込みも届いた。

 プロテストに合格した一翔に、いばらの道が用意される。おじの弘樹会長は「デビューの相手は日本ランカーと交渉中。かませ犬とはやらせない」と明言した。もちろん一翔も望むところ。「相手はジムに任せる。相手は誰でもいい」。自信に満ちた表情で言い切った。

 3分3回のスパーリングのテストでは、同じライトフライ級のB級プロ選手を圧倒した。ジャブでペースを握ると、左右の連打を確実にヒット。相手が前に出てくれば、ボディーで勢いを止めた。史上3人目の高校6冠のうまさを披露。力強さも見せ「正直、KOを狙った。プロになるから注目される存在になりたい」。注目度も高く、弘樹会長は「地上波のテレビ局3社から(デビュー戦放送の)お話を頂いている」と明かした。

 一翔は東農大中退を決めた昨年末から、井岡ジムで練習を積んでいる。ほかのジムへの出げいこも積極的に行い、日本ランカーや世界ランカーとも拳を交えた。アマチュアは4回だったが、世界王者となるには12回を戦い抜くスタミナが必要となる。「体力をもっとつけたい。ガードもまだ甘いので、覚えないといけない」と言う。

 「夢は世界王者になって3階級制覇」。一翔はおじ超えを宣言した。だが、まずは4月12日。関西格闘技の聖地とも言える大阪府立体育会館でのデビュー戦に集中する。プロモーター兼トレーナーの父一法氏(41)は「弟(弘樹会長)よりも気が強い。一翔は接近戦での連打が魅力」と期待する。「強いやつ」に勝ち続け「真の世界王者」への階段を上っていく。【奈島宏樹】