復活劇はここから-。日本最古の大相撲トーナメント「第76回全日本力士選士権」が2日、両国国技館で行われ、3場所連続休場中の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、双葉山や北の湖らに並ぶ史上8人目の2連覇を飾った。報道陣の多さに「花相撲とは思えない」と苦笑いしつつ「昨年以上に、横綱としてトーナメントで勝てたことは非常に光栄。これをきっかけにしていきたい」とうなずいた。

 たかが花相撲、されど花相撲-。出場した2横綱が初戦で退く中、千代の国、大栄翔、正代、朝乃山、豪風の5人を次々に寄り切った。昨年はこの大会での初優勝をきっかけに壁を破り、横綱に上り詰めた。今再び、左上腕付近のけがという悩みの種があるが、復活への転機はどこにあるか分からない。だからこそ「胸を借りるつもりでいきました」と力は抜かなかった。

 名古屋場所5日目以来、約3カ月ぶりに着けた締め込みは新しい、青みがかった「紫」だった。「ああいう色は好きですから」。しばらくは慣らすだけだが、聖徳太子が「冠位十二階」で定めた最高位の高貴な色は、綱の威厳を思い出させた。「非常に楽しかったというか、良かった。いいきっかけになるようにやっていきたい。こういうチャンスを生かしたい」。稀勢の里が再スタートを切った。【今村健人】