大相撲の横綱日馬富士に14日、幕内貴ノ岩への暴行問題が浮上した。日馬富士は沈痛な面持ちだった。同日午前、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で朝稽古を行ったが、周囲は報道陣が殺到し、重苦しい雰囲気に包まれた。

 日馬富士は午前8時半ごろに報道陣から疑惑について聞かれ「どっか(報道)に出たの」と一言。記事を見せられ「怖いな」とつぶやき、稽古場に入った。淡々と十両力士に胸を出すなどして同9時40分すぎに稽古を終えた。

 歩きながらの質問には無言だったが自ら立ち止まり、遠くを見詰めた後に「大変迷惑をかけたことを深くおわび申し上げます」と頭を下げ、関係者に謝罪した。品格を求められる最高位の力士が暴行を事実上認めた。その後、3日目からの休場が判明した。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は日本相撲協会の事情聴取で福岡国際センターに赴いた。わずかな時間だったが、入る時は普段と変わらなかった顔つきは、帰る際は厳しくなり足早に車に乗り込んだ。

 部屋に戻るとすぐに、険しい表情のまま日馬富士とともに貴乃花部屋へ向かった。師匠は「謝罪と、どこまでのあれ(けがの具合)かを聞きにいく」と言葉を残した。部屋の力士からは「どうなるんですか」と不安の声がこぼれた。