元貴乃花親方(元横綱)の貴乃花光司氏(46)が19日、都内のホテルで一般社団法人「貴乃花道場」の設立を発表した。

「お子さんだけでなく、大人にも、世界各地に足を運んで、日本の伝統文化を伝えていきたいと思います」

設立の目的は、自身が長く関わってきた相撲の裾野を広げていくこと。「道場」としながらも、拠点を持つことはせず、国内外に出向いて、相撲教室やイベントを開く形になるという。既に具体的なスケジュールを決まり始め、20日からはイタリア、7月にはニューヨークを訪問する。

「イタリアでは現地に住んでおられる日本人の方々に、ニューヨークでは大学の予備校生の方々にお話をすることになっています。国内では奄美大島に行きます。土俵のあるところ、土俵を作りたいところに出向きたいです」

平成時代は、前半を力士、後半を親方として活動してきた。日本相撲協会を離れた今、「部屋」を持つことはできないが、相撲に恩返ししたい気持ちは強い。昭和の名横綱双葉山は、二枚鑑札で現役時代から「双葉山相撲道場」を開いて力士を育成、大横綱の大鵬は、自身の部屋を「大鵬道場」と銘打った。現在、協会員ではない元貴乃花氏に弟子はいないが、一般社団法人を設立して相撲普及に務める独自の形を選択。それでも、「私が触れ合っていく中で、相撲に興味を持ち、力士になってくれる子供たちが出てきてくれたら、何よりもうれしいことです」と話した。

この日は、貴乃花氏が力士、親方時代からの支えてきた約500人を集めたパーティー「貴乃花御縁会」を開催。「貴乃花道場」設立の会見には、道場の理事長に就任したユネスコ第8代事務局長の松浦晃一郎氏、監事で元日本相撲協会外部役員の神山敏夫氏も出席した。【柳田通斉】