勝ち運に乗っている朝乃山は、攻めようとする姿勢がそのまま相撲に表れている。

初日に分の悪かった魁聖に勝った相撲では厳しさが出てきた立ち合いに「おやっ」と感じさせるものがあった。10日目の正代戦も左上手が取れないとみるや突き放しに出たが、本来持っている武器が自然と出たのも攻めの気持ちの表れだ。先場所は7勝3敗から5連敗で負け越した。悔しさをバネに、という精神的なものもあるが、春巡業で同じ右の相四つの栃ノ心に指名され稽古を重ねたことが大きい。当たりの強さが必要なことを学べたし、どう踏み込めばいいかも分かったろう。弟子の活躍はうれしいが、優勝などは考えていない。今場所はいい経験をさせてもらっている。色気を出さずに1番1番を積み重ねればいい。今場所のような経験を何場所か続けて幕内上位に定着すれば、その先が見えてくると思う。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)