日本相撲協会は秋場所5日目の12日、元関脇で西十両7枚目の嘉風(37=尾車)が引退し、年寄「中村」を襲名すると発表した。

この日、引退届が提出され、理事会で「中村」襲名が認められた。嘉風は6月に大分県内で行われた合宿中に右膝を負傷。7月の名古屋場所を全休し、今場所も「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷、右膝後十字靱帯(じんたい)損傷、右膝後外側支持機構損傷、右腓骨(ひこつ)神経まひ」との診断書を提出し、初日から休場していた。6月28日に手術をしたが、今後の追加治療や治療期間に関して、診断書には「現時点では未定」とも記されており、今後の見通しが立っていなかった。

前日11日に電話で話したという師匠の尾車親方(元大関琴風)は「本人から『引退したい』という連絡があった。非常に悔しがっていた。土俵で散りたかったと思う」と、最後に本場所土俵で取組を行わないまま引退する無念さを代弁した。それでも同親方は「人前では言ったことはなかったけど、自慢の力士だった。どこに行っても『嘉風は真っ向勝負でいいね』と褒められた。今後は彼のまっすぐな、真っ向勝負の相撲を伝授してもらいたい。よく嘉風にも言っていたけど『銭の取れる相撲』を。勝ち負けは別にして、彼が実行してきた、そういうのを伝えてほしい」と、指導者としての今後に期待していた。

現在、嘉風は三重県内の病院に入院中で、16日に都内で会見を予定している。