大相撲初場所限りで現役を引退した元大関豪栄道の武隈親方(33=境川)が1月31日、初お披露目したスーツ姿で“親方デビュー”を飾った。

同日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた年寄総会に出席。入室する約100人の親方衆にあいさつするため、開会予定時間(午後2時)の1時間以上前に入り、やって来る親方衆1人1人に頭を下げ、あいさつした。

「お疲れさん、とみんなから言われました。全然、分からないことだらけなので、分からないことは聞いて一生懸命、協会のために頑張りたい」と、やや緊張した面持ちで話した。

苦心したのは、引退会見前日の28日に、都内の紳士服店で購入した既製品のスーツ。埼玉栄高時代以来、約15年ぶりの着用だったが「着物に慣れているから肩周りとか違和感があります」。別の店で2本を購入したネクタイも「(相撲界では)首回りを締め付けられるものがなかったので違和感が…」と、こちらも窮屈そう。この日、着用する際は、最近まで3年間締めていたという高卒の若い衆に頼んで締めるのを手伝ってもらったという。両国国技館到着後も部屋の君ケ浜親方(元前頭宝智山)に直してもらったそうだ。

「腹がデカイからベルトも下がって大変だった」と、ずり落ちそうなズボンを常に気にしていた武隈親方。師匠の境川親方(元小結両国)から贈られたベルトと、以前から持っていたというかばんを手に「ちゃんとした格好をしないと」と悪戦苦闘しながらも「協会のために頑張りたい」。2月3日には地元大阪で節分の豆まきを行い、13日のNHK福祉大相撲で警備を担当する予定だ。