大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が、さまざまな思いを胸に11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に臨む。5日、都内の高砂部屋で、秋場所後に初めて朝稽古を行った。相撲は取らずに、四股やすり足、テッポウなどで汗を流した。秋場所後の1週間の休みについては「特に変わったことはしていない。しっかり休みました」と休養にあてた。

秋場所は初日から3連敗するも、4日目から10連勝して優勝争いに加わった。しかし、「本当にふがいない結果だったので、思い出したくないし、振り返りたくない。すごく悔しい結果でした」と険しい表情を浮かべた。さらに「正代関が大関になったのが悔しい」と、初優勝して大関昇進を果たした正代を意識。14日目の対戦では、立ち合いで圧力負けして、のど輪をくらってひっくり返された。「久しぶりに圧倒された。負け方がひどくてすごく悔しかった」と唇をかんだ。

正代の大関昇進により、11月場所は3大関になる。「相撲界が盛り上がって、いい意味で刺激になる。負けたくない気持ちも出てくる」と力が入る。報道陣から「3大関の中から誰が1つ上の地位に上がるかも注目される」と言われると、「常に自分が先に上に上がらないと、という気持ちにならないと上にいけない。前向きな気持ちを持っていきたい」と意気込んだ。

師匠の高砂親方(元大関朝潮)は、11月場所後に日本相撲協会の定年を迎える。「1番は(自分が)優勝して定年を迎えて欲しい。横綱という道は厳しいと思いますので、いい成績を自分だけじゃなくて、部屋のみんなが好成績を残して定年を迎えられればいい。師匠の教えを思い出して、11月場所に向けて取り組みたいと思います」と話した。