日本相撲協会は大相撲11月場所8日目の15日、元大関の西十両3枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)の引退を発表した。また理事会で、琴奨菊の年寄「秀ノ山」の襲名が承認されたことも発表した。今場所で15年ぶりに十両に転落した琴奨菊は、同場所6日目時点で1勝5敗と振るわず。同場所7日目の14日に休場届けを提出し、引退の意向を固めていた。

西前頭11枚目だった9月の秋場所は、左ふくらはぎ肉離れで途中休場。幕内残留のために途中出場するも、2勝10敗3休で05年春場所以来、15年ぶりに十両に転落した。場所前に取材に応じた際は「勝てば上がるという世界。前を向いていく。ネガティブにとらえがちだけど、ポジティブなところがたくさんある」と、現役続行へ意欲を見せていた。

再起を懸けた今場所だったが、白星は2日目の松鳳山戦のみ。思うような相撲が取れずに、厳しい現実と向き合うことになった。6日目の千代ノ皇戦では、仕切り時間いっぱいになった時、大きく背中を反らせる「琴バウアー」を久しぶりに披露。胸に秘める思いで上がった最後の土俵となった。

明徳義塾中で中学横綱に輝き、同高で団体など7タイトルを獲得。02年初場所で初土俵を踏み、代名詞「がぶり寄り」を武器に11年秋場所後に大関昇進を果たした。16年初場所では、日本出身力士として10年ぶりに賜杯を抱いた。先場所までの幕内在位は史上7位の92場所。幕内連続在位は史上4位の91場所、幕内勝利数は史上6位の718勝などと、名実ともに角界を代表する力士だった。今後は秀ノ山親方として後進の指導にあたり、大相撲を支えていく。