2年ぶりの福岡開催となる大相撲九州場所(14日初日、福岡国際センター)に、2場所連続の小結で臨む逸ノ城(28=湊)が8日、福岡県内にある部屋宿舎での朝稽古後、報道陣の電話取材に応じ、場所に向けての意気込みなどを語った。

5日に福岡入りし、数日は土俵づくりなどの準備期間に充て、この日から体を動かし、9日から本格的なトレーニングや若い衆相手の稽古を再開するという。

久しぶりの福岡は「気持ちいいですね。けっこう涼しいというか寒いし、すごくいいと思います」と、生まれ育ったモンゴルを思わすような気候を歓迎する様子。体重は208キロをキープしているが、福岡での楽しみの食欲については「とんこつラーメンとか、もつ鍋。この2つは絶対に食べたい」と、場所後の楽しみを素直に明かした。

先場所は場所前の8月下旬に、新型コロナウイルスに感染。秋場所こそ出場可能になったものの「ギリギリまで入院していて稽古していなかった」(逸ノ城)と場所前は、体を動かすことさえ、ままならなかった。そうして迎えた約2年半ぶりの三役での土俵は、9日目に6敗目を喫し三役陥落のピンチに陥ったが、10日目から巻き返し5連勝で勝ち越し。上位相手にも2大関、関脇も2人破るなど、底力を発揮した。

東前頭12枚目でスタートした今年は、春場所が唯一の負け越し(7勝8敗)。2ケタ勝利が1場所、9勝が2場所と着実に番付を上げ、返り咲いた三役も今場所が2場所目。元々の力から、2ケタ勝って大関どりの足掛かりにしたいところだが「先場所に続いて勝ち越すこと(が目標)。一番でも多く勝てるようにやっていきます」と、まずは最低限の8勝を目指す。そのためには「自分がやっていることを自信を持って、迷いなくやるだけだと思います」という。

技術的には「迷って思い通りの相撲を取れなかったり、立ち合いで当たれないことがある」と現状を直視した上で「しっかり、やることを決めて行けるようにしたい。そのためにも毎日のことを、しっかりやっていきたい。自分の形になれば自信がある」と精神面でブレない姿勢を自分に求めた。

秋場所後の9月29日付の官報で、日本国籍取得が公示され、今月5日には「三浦駿」への本名変更が発表された。1年半ほど前に、国籍変更の思いが生まれ、成就に至った。気持ちも新たに臨むことには「もちろん。将来、ちゃんと日本に恩返し出来ればいいなと思って日本国籍を取りました」と自覚も十分。師匠の湊親方(元前頭湊富士)の姓から「三浦」をもらったが「相撲界に入って親方に、いろいろとお世話になって教えてもらったから今の自分がある」と思いを込めた。

「勝ち越し」を目標に挙げるが、一方で優勝争いへの思いも「ありますよ」と素直に話す。ただ大関どりの意識は「とりあえず下に行かない(陥落しない)ように(三役に)定着したいのと、上に行けるようにと思ってやっている」と明確には定めていないようだ。新入幕で、いきなり優勝争いし旋風を巻き起こして7年。2年前の春場所では優勝次点ながら14勝1敗で「怪物復活」を印象づけた。心機一転で臨む博多の地で、再び旋風を巻き起こせるかに注目だ。