かど番の大関御嶽海(29=出羽海)が佐田の海に敗れて、8敗目を喫した。負け越しが決まり、来場所の関脇転落が決定した。新大関から在位4場所での陥落は、昭和以降で6位の短さとなる。来場所で10勝すれば、1場所で大関に返り咲く。大関陥落は昨年秋場所で関脇に落ちた朝乃山以来で、最近5年間で8例目。

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御嶽海の8敗目に、両国国技館内からため息が漏れた。わずか4場所で大関の座を失うことになった。昭和以降では6位の短さという不名誉な記録だ。御嶽海の表情は悲壮感に満ち、うつろな目で動揺を隠し切れなかった。取組後の取材にも応じず、一言も発することなく会場を後にした。

左おっつけで前に出た。だが右喉輪が外れ、土俵際で佐田の海の左突き落としに土俵を飛び出した。幕内後半戦の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「前に出ていって負けたのだから(大関陥落は)仕方ない。ただ、まわしを取るなりいろいろある。(来場所は)雑な相撲を取るのではなく、しっかりやらないといけない」と改善を促した。

5月の夏場所で6勝9敗と負け越し、先場所は新型コロナ関連で途中休場。今場所は異例のかど番継続で臨んだ。「何があっても前に出る相撲を貫きたい」。場所前の誓い通り、初日は翠富士、2日目には先場所優勝の逸ノ城を下して連勝発進。ただ、そこからわずか1勝。6日目から6連敗と不振から抜け出せなかった。5月の夏場所初日に右肩を痛めた影響もあり、持ち前の強烈なはず、おっつけは影を潜めたままだった。

1月の初場所で3度目の優勝を果たし、場所後に悲願の大関昇進。長野県出身では江戸時代に活躍した雷電以来227年ぶりの新大関として話題になった。関脇として臨む九州場所では、10勝以上すれば大関に復帰できる。今場所の残る取組でどれだけ光明を見いだせるか。復調の兆しをつかみたい。【平山連】