日本相撲協会は14日、西前頭12枚目隠岐の海(37=八角)の引退と年寄「君ケ浜」襲名を発表した。

隠岐の海は今月8日から始まった大相撲初場所で、初日から5連敗。前日13日の6日目から休場し、再出場がなければ10年秋場所以来、13年ぶりとなる十両陥落が決定的な状況だった。隠岐の海はかつて「幕内にこだわりたい。十両に落ちたら気持ちが続くかどうか」と話したことがあった。現役関取衆では、38歳の前頭玉鷲に次ぐ2番目の年長とあって、心身ともにギリギリまで土俵に立ち続けた。

最高位は関脇で、三賞は殊勲賞1回、敢闘賞4回の計5回、金星は4個獲得した。殊勲賞は16年秋場所で、横綱日馬富士、鶴竜、大関稀勢の里、照ノ富士、琴奨菊と、2横綱3大関を撃破した。189センチの長身と懐の深さを生かしたスケールの大きな相撲で、相手にまわしを与えず、得意の右四つ、寄りで白星を重ねた。

島根県出身として初優勝に何度も迫ったが、3度の優勝次点が最高だった。その3度の優勝次点の場所は、全て横綱白鵬が優勝していた。白鵬を苦手としており通算1勝24敗。逆に得意としていたのは大関琴欧洲で、こちらは対戦成績が7勝3敗と大きく勝ち越した。05年初場所の初土俵から、通算成績は674勝675敗32休だった。

端正なマスクから女性人気も高く、力士役で映画に出演したこともあった。また現役力士は各種運転が禁じられているが、相撲界に入る前に、1級小型船舶操縦士(20トン未満の船を操縦可能)の資格を取得。離島の隠岐の島町出身らしい一面があった。今後は八角部屋の部屋付き親方として、後進を指導する見通しだ。