大関貴景勝が「流血の激闘」を制して1敗を死守した。過去2戦2勝の西前頭3枚目翠富士との結びの一番は、この日最も館内をわかせた対戦となった。
立ち合いから大関が突き放しにいく。翠富士も下がりながら攻め手を繰り出す中、バッチバチの張り手合戦へと突入した。互いにらみ合う場面もあり、貴景勝の大振りの右フックに負けじと翠富士も応戦する。右を差されて組み止められた貴景勝だが、執念の小手投げで決着をつけた。
取組後、貴景勝の鼻からは血が流れ落ちる。3日目の大栄翔戦も、猛烈な突き合いで貴景勝は口の中を切って出血した。125年ぶり1横綱1大関の異例場所で、横綱照ノ富士が休場。「番付最上位」背負う責任感が、流血もいとわない激闘につながっている。
ただ、取組後の取材にはこの日も応じなかった。重圧とも闘う中、声にしてのメッセージを届けることなく、沈黙を続ける。
先場所は千秋楽に12勝と星を並べながら、優勝決定ともえ戦で阿炎に屈した。その阿炎にも前日6日目に雪辱を果たし、三役以上でただ1人の1敗と優勝争いを引っ張る。「小さいころからの夢」という横綱へ、勝負の残り8日間が待ち受ける。【実藤健一】

