豊昇龍が連敗を2で止めた。先場所覇者の阿炎の強烈なもろ手突きにたまらず体がのけ反ったが、左右のはずで下からはね上げるようにしのいだ。土俵際で相手の右を手繰って体を入れ替え、すかさず左上手を引いて寄り切った。幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)も「押し込まれたけど、よく手を出した」とたたえた。
20年秋場所で新入幕を果たすと、順調に階段を上ってきた。昨年は飛躍の年だった。同じ関脇の若隆景とともに年6場所全てで勝ち越した。年間の勝利数ではトップの若隆景(57勝)に1歩及ばなかったが、琴ノ若と並んで55勝と2位。三役にも定着し、「(22年は)良い1年だった」と大きな手ごたえをつかんだ年になった。
賜杯に最も近づいたのが昨年11月の九州場所だった。12日目に王鵬、13日目に貴景勝、14日目に阿炎と終盤に3連敗し、優勝争いから離脱した。場所後には「(後半戦は)もう終わったことだから。思い出したくない」と顔をしかめていた。その裏で、強くなるために自分と向き合うことを怠らなかった。取組を見返し「緊張かな。力が入り過ぎていた」と課題を見つめた。闘志むき出しの相撲だが、土俵を離れると冷静な分析が光る。
充実ぶりは体にも現れる。部屋のトレーナーの筋トレメニューをこなしながら稽古に励み、体重は146キロに増えた。場所前には「厚みが出たんですよね~」とおどけ、手ごたえを感じさせた。
今場所では大栄翔、翠富士にこそ敗れたものの、幕内で自身初の初日から4連勝をマークした。親方衆や巡業に足を運ぶ相撲好事家たちから、次期大関候補に推される23歳。連敗を脱したことで、初優勝へここから巻き返したい。【平山連】

