連載「誕生 ちょんまげ大関」の2回目は、祖父の坪内勇さん(75)が語る大の里。今年の元日に起きた能登半島地震により避難所暮らしが続いた際には、孫ら地元石川県出身の郷土力士たちの慰問に力をもらった。晴れて新大関として迎える10月6日の金沢巡業には駆けつけ、地元石川を元気づけてくれる孫と久々の再会を果たす。大の里の大関昇進は25日午前、東京・両国国技館で開かれる日本相撲協会の九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)番付編成会議と臨時理事会で正式に決まる。
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石川県能登地方が記録的大雨に見舞われた21日、大の里は2度目の優勝を決めた。元日に発生した能登半島地震の復興途上にある故郷を「絶対勝って元気づけたい、勇気づけたい」と気合をみなぎらせ、1度も勝っていなかった豊昇龍を破った。祖父の坪内さんは、石川県内の仮設住宅で見届けた。「翌朝の新聞を見るのが楽しみだよ」と安堵(あんど)した。
出生時から規格外だった。孫の体重は4000グラムを超え「他の子たちよりも頭一つデケェ~」と目を見張った。ただ、将来力士になるとは思わなかった。「小さい頃には『お父さんみたいにデブちんならイヤ』みたいなことを言って、他のスポーツがしたいと言ってたこともあった。お父さんとどんな話し合いをしたかは分からないけど、相撲をしたら終わった後にいっぱい食事会やらがあったりして、あれが楽しかったんじゃないかな」と懐かしむ。
再会するたびに成長を実感してきた。能登半島地震で自宅が大きな被害を受け、避難所生活を余儀なくされた今年2月。日本相撲協会の一員として慰問に訪れ孫から支援物資を受け取った。故郷の窮状を知って駆けつけてくれたことが誇らしく「周りの人もどれだけ元気をもらったか」と感謝でいっぱいになった。今年4月に仮設住宅に移ったが「戻る所がないから仕方ないけど、やっぱりなかなか安らげないね」と本音がこぼれる。先行きの見えない不安も募る中で、本場所で活躍する孫の姿が何よりの励みとなっている。
来月6日に金沢市内で行う秋巡業。新大関として凱旋(がいせん)を果たす孫を見に行こうと会場へ足を運ぶつもりだ。「大関になったら忙しくなるだろうし、なかなか話せないだろうな」と思いつつ、8カ月ぶりの再会を心待ちにする。その思いは被災した地元の人たちも同じだ。大の里の土俵に立つ姿は、確かに希望の光になっている。【平山連】

