豊昇龍が「名門」立浪部屋を再び引き上げる。
レスリングの選手として来日。相撲経験はとぼしく、素行に問題もあった元横綱朝青龍のおいという肩書から各部屋が入門をちゅうちょする中、受け入れたのが立浪部屋だった。
1915年(大4)に元小結の緑蔦が春日山部屋から分家独立して部屋を興した。不滅の69連勝の記録を持つ大横綱双葉山、第36代横綱羽黒山を生み、豊昇龍は86年7月に昇進した双羽黒以来に部屋から誕生する横綱となる。
師匠の元小結旭豊の立浪親方は、豊昇龍の個性を伸ばすことに注視し、温かく育ててきた。これといった「形」を持たないのも豊昇龍の特色で、それをよしとして育成してきた。
四つに組んでの足技に加え、初場所は突き放す相撲にも顕著な進化を見せた。豊昇龍は「突き押しもいい感じ。いろいろ考えたら硬くなる。師匠に『楽しくやれ』と言われた。その言葉が支えになっている」。
名門部屋だが、凝り固まった「枠」にはめない育成方針。本来、自由奔放な横綱豊昇龍を育てた。【実藤健一】

