1敗でトップに並ぶ東前頭4枚目の高安(35=田子ノ浦)が、約2年半ぶり6個目の金星を挙げた。横綱豊昇龍を押し倒しで撃破。22年秋場所で照ノ富士を破って以来15場所ぶりの横綱戦勝利を手にした。今場所前に35歳になったベテランが、悲願の初優勝を目指して元気な姿を見せている。大関大の里、東前頭14枚目の美ノ海も1敗を守った。

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拍手と歓声に包まれる中で、結びの一番を制した高安が分厚い懸賞を受け取った。「熱気がすごかった。盛り上がっていただいて気持ちが良かった。横綱に勝つことはうれしいし、達成感がある」とかみしめた。

かち上げて相手の体勢を起こした後、左を深く差して流れを引き寄せた。その後、まわしから手こそ離れたが、しっかり対応。最後は土俵下に横綱を吹っ飛ばした。「相手の動きを止められた。めりはり良く攻めることができた」。通算9勝2敗と合口の良かった豊昇龍に快勝。現役最多に1差と迫る6個目の金星だ。

今場所前の先月28日に35歳の誕生日を迎えた。ちょうど20年前の春場所が初土俵。大関の地位を15場所も務めながら、腰痛の影響で陥落した。長い相撲人生を「順風満帆ではなかった」と振り返り「でも、こうして上位で相撲が取れていることは感慨深い」。土俵の上で感じるのは充実感だ。「今が一番楽しい。やりがいがあるし、たくさんの方が声援を送ってくれる」との感謝で体を突き動かす。

中日を終えた時点で7勝1敗のトップタイ。9日目は大関琴桜との対戦が控える。「まずは今日の相撲が終わったので、明日の勝ち越しを目指して頑張りたい」と気持ちを入れ直した。

この日、朝稽古を終えた後には「初優勝と、もともといた地位に戻ること」への意欲も明言していた。「まだまだやり残したことはいっぱいある」。経験豊富な力士は、さらなる境地を追い求める。【奥岡幹浩】

▽1敗 大の里、高安、美ノ海

▽2敗 尊富士、玉鷲、明生

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