アピールは不発だった。大相撲夏場所(11日初日)で、初の綱とりに挑む大関大の里(24=二所ノ関)が2日、会場となる東京・両国国技館で行われた横綱審議委員会(横審)の稽古総見に参加。一般公開され、5500人の入場者や横審委員の前で、横綱昇進にふさわしい実力を示したかったが、6勝10敗と精彩を欠いた。特に横綱豊昇龍には1勝8敗と大きく負け越し。巻き返しと雪辱を誓っていた。

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3度目の優勝を果たした先場所のような、重さも踏み込みの鋭さもなかった。大の里の仕上がりは、現時点で豊昇龍をはるかに下回っていた。稽古総見が始まって、すでに2時間半以上が経過した午前10時7分。綱とりの大の里と、休場明けから復活を期す豊昇龍という、今場所の主役2人が土俵で向き合った。駆けつけた入場者約5500人、横審の面々、親方衆、関取衆の視線がくぎ付け。だが2人の最初の一番で大の里は完敗。前まわしを引かれて一気に寄り切られた。

豊昇龍に対して、右を差して馬力を生かして寄り切る、持ち味を発揮した一番もあった。だが豊昇龍に勝ったのは、その一番だけで1勝8敗。「良くないところだらけ。まだまだ稽古不足。出遅れているので頑張っていきたい」。調整遅れを認めた。特に「上半身と下半身がバラバラ」と、体に一体感がないなど、実戦感覚が鈍っている様子だ。

それもそのはず、相撲を取る稽古は4月26日の巡業以来、6日ぶりだった。前日1日は、所属する二所ノ関一門の連合稽古を欠席。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)によると「体調不良」だが、大の里は詳細を問われても、はぐらかした。ただ師匠もケガではないと説明しており、精彩こそ欠いたが、痛そうなそぶりは見せずに「元気になった」と、気丈に話した。

八角理事長(元横綱北勝海)には「アピールに欠けた」と厳しく評価された。一方で「本場所で力を出す力士」との評価も。実力を示し、昇進の機運を高める巻き返しを期待された。大の里も「今でよかった。場所直前じゃなくて。あと1週間あってよかったとプラスに考えたい」と、巻き返しに意欲をのぞかせた。さらに大勢の入場者が駆けつける本場所で、横綱昇進の“資格十分”とアピールするつもりだ。【高田文太】