東前頭15枚目の琴勝峰(25=佐渡ケ嶽)が、初優勝に王手をかけた。関脇霧島を上手投げで破り、12勝目。千秋楽は、安青錦との本割で勝てば優勝が決まる。優勝なら、昨年春場所の尊富士以来の平幕V。昨年九州場所の琴桜以来となる佐渡ケ嶽部屋からの優勝になる。
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体が自然と動く。得意の右を差せないとみるや突き放していく。相手が出てきたところで右へ動いていなし、右上手を振って土俵の外へ追いやった。12日目に小結高安、13日目に横綱大の里、14日目に関脇霧島。役力士をものともせず、優勝争いの単独トップに立った。
「体がよく動いた」「思った通りというか…立ち合いで体が勝手に動いてよかった」。考えるより先に、体が反応してくれる。上り調子で、初優勝に王手をかけた。
今場所前に右太ももを肉離れし、今もテーピングを施している。ほぼぶっつけ本番で臨んだ場所で、序盤は3勝2敗。ノーマークからの9連勝で、ついに千秋楽までたどり着いた。
けがをしていたから、前に出るしかない。無欲。弟の琴栄峰が新入幕を果たし、尻に火がついた。2年前に優勝を争った経験が生きている。もともとは横綱、大関を期待された大器。190センチ、167キロの体格は、大の里にも当たり負けしない。これらの要素が全てかみ合い、地味を自認する琴勝峰が、派手なことをやってのけそうな空気感を漂わせてきた。
印象に残る幕内優勝がある。埼玉栄高出身。高校生のころ、13歳も年上のOB豪栄道の優勝を寮で見た。「高校の先輩が活躍していたということで、印象に残っています。その時は相撲界に入るとは決めていなくて、大学に行くか、プロに行くか悩んでいました」。
当時「純粋にすごいな」と思った優勝は、もう目の前にある。支度部屋でも浮つくことなく、淡々とコメントするだけ。「幕内下位なので思い切っていきたい」。平幕優勝のための要素が、そろいにそろっている。【佐々木一郎】
◆琴勝峰吉成(ことしょうほう・よしなり)本名・手計富士紀。1999年(平11)8月26日、千葉県生まれ。17年九州場所初土俵、19年九州場所新十両、20年7月場所新入幕。得意は突き押し、右四つ。家族は夫人と一男。190センチ、167キロ。

