東前頭15枚目の琴勝峰(25=佐渡ケ嶽)が初優勝を果たした。

優勝パレードの旗手は、弟の幕内力士・琴栄峰ではなく大関琴桜だった。日本相撲協会内には疑問の声も上がった。なぜ幕内力士がいるのに、大関にやらせるのか-。

琴桜を指名したのは佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)。そこには考えがあった。

「(琴桜が)旗手をやることで、感じて欲しいなと思うんですよね。『オレが乗る場所はここじゃないな』と。今後、琴桜が優勝して琴勝峰が旗手をやれば、今度は琴勝峰が『オレ、ここじゃないな』って。お互いにそういう気持ちになって頑張ってくれれば、2人とも横綱になるんじゃないかと思うんですよ」

師匠が琴桜に旗手を打診したのは、千秋楽の朝。理由は説明していない。多くを語らずとも、その意図を琴桜は察していた。

琴桜は「言われた時点で、(師匠が)思っていることはそういうことなんだろうな」と理解した。

今場所は8勝7敗。大関として納得できるわけがない。そんな中、琴勝峰が優勝した。

「うれしくないわけじゃないんです。同じ場所で成長して、一緒に稽古した人間が、こういう戦いをしてうれしい。自分自身も刺激にしないと。うれしいことだけど、ただ喜んでるだけじゃ良くない。周りと一緒に喜んでる場合じゃない」

優勝旗を持って、琴勝峰の横で見える景色はどうだっただろう。今度こそ、脇役ではなく、主役として乗車しなくてはいけない。「その景色をもう1回見られるように」。琴桜はこうつぶやき、自分に言い聞かせていた。【佐々木一郎】

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